「定住者ビザ」とは――申請のポイントや他の在留資格からの変更は?

定住者ビザとはどのような在留資格か

在留資格は活動内容に応じて分類がされており、日本に滞在をする外国籍の人は、職務内容や学業など自身の国内での活動に対応するビザを申請しなければなりません。
しかし、在留資格の中には「身分系」ビザと称されるものがあり、定住者ビザもその一つです。

定住者ビザは、日本で行える仕事内容に制限がないことや、比較的長期の在留期間が許可されるため、日本で幅の広い活動をより安定して行うことが可能となります。

また、申請人について学歴や職歴などの要件が求められないことも特徴です。

定住者ビザの対象となる方は実は様々なパターンがあります。
よくある事例としては、次の4つが考えられます。 

定住者の4つのパターン

日本人配偶者と離婚・死別をした外国人

1つ目は「日本人の配偶者等」のビザから「定住者」ビザへの変更です。「日本人の配偶者等」のビザを持つ外国人が、日本人との離婚などを原因として、配偶者としての在留資格を失ってしまったが、そのまま日本で暮らしたいので「定住者」ビザに変更するケースとなります。 

外国籍配偶者の連れ子

2つ目が日本人と国際結婚した外国人配偶者の「連れ子」を本国から呼び寄せる場合です。日本で一緒に暮らすために、連れ子の定住者ビザ申請を行います。

日本で長期間教育を受けた外国籍の子ども

3つ目は「家族滞在」ビザから「定住者」ビザへの変更で、次のいずれにも該当する方が対象となります。

(1)日本の義務教育を修了していること
(2)日本の高等学校を卒業していること又は卒業見込みであること
(3)入国後、引き続き「家族滞在」の在留資格をもって日本に在留していること
(4)入国時に18歳未満であること
(5)就労先が決定(内定を含む。)していること
(6)住居地の届出等、公的義務を履行していること

 

日系人

4つ目は日系人です。

日系人とは、日本人が海外に移住し、その国の国籍を取得した人、および、その子孫のことです。
日本国籍から外国国籍に変更した人を日系1世とします。その子は2世、2世の子は3世となります。

日系人による定住者ビザの取得は日系3世、ケースによっては4世まで取得が可能です。

定住者ビザ取得に必要なポイント

以上4つのケースについて、定住者ビザを取得するポイントを見ていきたいと思います。

「日本人の配偶者等」ビザから定住者ビザへの変更

こちらは上述の通り、「日本人の配偶者」ビザを持っている外国人が日本人と離婚したけれど、そのまま日本で暮らしたい場合です。これには死別により日本人の配偶者でなくなった場合も含まれます。この場合、結婚をしていた期間が3年以上続いていたことが必要となります。結婚期間は、3年間同居していたことも必要なため、もしも同居の期間がそれより短いと難しくなります。

ただし、申請人に日本国籍の子どもがいる場合は結婚をしていた期間が3年間なくても、1年程の結婚期間があったことで許可が出る可能性があります。この措置は、子どもの養育・監護の必要性により許可がされているといえます。そのため、子どもと同居して実際に子育てを行っていなければ認められません。書類上、親権を持っているだけでは該当しません。定住者ビザは、その後長く日本で暮らすことが前提です。そのため、次の点についても説明が必要です。

    • ・そのまま日本で暮らすことの理由
    • ・安定した収入の見込み
    • ・ある程度の日本語能力があること
    • ・公的義務の履行をしていること

 

外国人配偶者の「連れ子」の呼び寄せ

「連れ子」とは外国人配偶者が日本人と結婚する前に、以前の配偶者との間にできた子どものことです。その子どもと日本で一緒に暮らすため、「連れ子」の定住者ビザを申請するケースです。

〈連れ子ビザ(定住者ビザ)の取得条件〉

連れ子ビザ(定住者ビザ)の取得は、次の4つの条件を満たす必要があります。

1.親が「日本人の配偶者」ビザ、または、「永住者の配偶者」ビザを取得していることが必要です。

2.連れ子は外国人の親の実子である必要があります。外国人配偶者の養子や前の配偶者の連れ子は、定住者ビザの取得要件を満たせません。

注)〈外国人が養子縁組により日本人などの養子となった場合
申請人(外国人の子ども)が「日本人」、 又は、「永住者」、「定住者」、「特別永住者」のいずれかの方の扶養を受けて生活する6歳未満の養子である場合には定住者ビザの対象となります。

3.子どもが未成年、かつ、未婚であること
連れ子は未成年かつ未婚である必要があります。
未成年の定義は日本の法律が適用されるため、18歳未満となります。

4.親の扶養を受けて生活すること
連れ子は親の扶養を受けて生活することが前提となります。そのため、連れ子の扶養が可能な世帯年収であることや、連れ子と夫婦の同居についても審査の対象となります。

日本で長期間教育を受けた外国籍の子ども ーー「家族滞在ビザ」から「定住者ビザ」

「家族滞在ビザ」で日本に暮らす外国人で、次の要件を満たす場合は「定住者ビザ(告示外)」に在留資格を変更することが可能です。
注)この変更は「家族滞在ビザ」で長年日本に在留している子どもが対象です。「家族滞在ビザ」で在留している父親、または、母親は「定住者ビザ」へ変更することはできません。

〈子どもが「家族滞在ビザ」から「定住者ビザ(告示外)」に変更できる要件〉

・子供の頃から日本に在留し、義務教育を日本で修了している(小学校および中学校を卒業している)。
・日本の高校を卒業(卒業見込みを含む)。
・就職先が内定していること。
・これまでの在留状況に問題がないこと。

「家族滞在ビザ」から「定住者ビザ」に変更すると、日本で行える活動内容に制限がなくなり、職種に関係なくフルタイムでの就労が可能になります。社会との接点が多くなる高校卒業をタイミングに、変更を検討してみるのも良いと思われます。

詳しくはこちら:外国人の暮らしと在留資格【家族滞在者⇒定住・特定活動】

日系人の定住者ビザ取得

日系1世~4世までが対象となりますが、世代により取得するビザが異なります。

  • 日系1世:「日本人の配偶者等」
  • 日系2世:「日本人の配偶者等」または「定住者」(告示2号)
  • 日系3世:「定住者」(告示3号)
  • 日系4世:「定住者」(告示6号ハ)または「特定活動」(告示43号)
  • 日系5世以降:なし(通常の外国人と同じ)

・日系1世

日本人の子として出生した人が外国に移住して、そこの国籍を得た人が日系1世となります。外国人と結婚してその国の国籍に変更した元日本人も含まれます。

日系1世の在留資格は「日本人の配偶者等」となります。

「定住者」ビザとはならないため注意が必要です。

・日系2世

親(日系1世)が日本国籍を有しているか、日本国籍を離脱する前に出生した子の場合、在留資格は「日本人の配偶者等」です。

同じ日系2世でも親が日本国籍を離脱した後に出生したならば、在留資格は「定住者」(告示2号)となります。

・日系3世

日系3世の方は、在留資格は「定住者」(告示3号)となります。

・日経4世

日系4世の在留資格は、「定住者」の在留資格で在留する親(=日系3世)の扶養を受けて生活する未成年者未婚の実子は「定住者」(告示6号ハ)となります。

親の扶養を受けておらず、独立している子が来日して在留するケースは「特定活動」(告示43号)となります。

 

「定住者」ビザ申請に関してよくいただく質問

・国際結婚をしました。外国人配偶者に連れ子がいるため、呼び寄せを考えています。連れ子と日本人側との養子縁組が必要ですか
⇒ 定住者の在留資格で申請する場合, 日本人の父または母との養子縁組を行う必要はありません。

 

・日本人との夫と結婚する前に本国との男性との間にできた子どもがいます。これまでは本国で私の母親と一緒に暮らしていましたが、今後は日本で私たち夫婦と一緒に暮らすことを希望しています。本人は現在21歳で未成年ではありません。定住者ビザの取得は21歳では無理でしょうか?
⇒成年に達している場合は、定住者ビザの取得はできません。
そのため、定住者ビザとは異なるビザを取得して一緒に暮らすことができないか検討します。先ずは21歳なので日本で働きながら一緒に暮らす方向性を考えます。
しかし、本人の現在の学歴が高校卒であった場合、21歳では、まだ十分な職歴がないため、日本で就労ビザを取ることが難しくなります。
もしも現地の大学等に在籍しているならば、卒業後に日本の会社に就職して就労ビザを取るといった方向性も考えられます。その他、日本の大学などへの留学、あるいは、申請人が日本で事業を開始して「経営・管理」のビザを取得するなどの方向性も考えられます。
「家族滞在」ビザとは――就労はできる?申請の条件やポイントは?

「家族滞在」とはどのような在留資格か

家族滞在ビザとは、主に就労ビザをもって滞在する外国籍の人の家族を対象とした在留資格です。

就労ビザは、日本で経済活動を行う人を対象としていますので、許可が下りるのは申請者本人のみです。
つまり、その家族は対象にはなりません。そのような外国人が、配偶者や子どもを日本に呼び寄せて、日本で一緒の生活を希望する場合に使う在留資格が「家族滞在」です。

ただし、ここでの「家族」とは配偶者と子どもであって、原則として両親や兄弟などは含まれません。
多くの外国人がこの在留資格を持ち日本で生活をしています。

 

家族滞在ビザはこんな時に取得します

✓日本での就職をタイミングにして、本国で暮らす妻を呼び寄せる

✓本国の子どもを呼び寄せて日本で一緒に暮らす

✓日本で結婚。二人とも外国籍であるが、相手の扶養に入ることになった
(例1:これまでは留学ビザで日本に滞在していたが、学校をやめて家族滞在に変更)
(例2:技術・人文・国際ビザで働いていたが、結婚を機会に仕事を辞めて家族滞在に変更)。

 

家族滞在ビザ取得のポイント

家族滞在ビザは、配偶者や子どもを日本に呼ぼうとする外国人に、扶養の意思があることが前提です。

妻や子どもが日本に来て仕事をする予定の場合は、「家族滞在」の在留資格にそもそもあてはまらないため、別のビザを検討する必要があります。つまり、仕事内容に応じた就労資格を個別に申請しなければならないということです。

また、同様の理由から、就労している外国人に、扶養するだけの経済力があることも重要です。

以下は、これらのポイントをまとめたものです。

〈家族滞在ビザ取得の4つのチェックポイント〉

☑ 配偶者と子について、書類で家族関係を証明できることが必要です。
☑ 配偶者と子は現在、扶養を受けている必要があります。
☑ 扶養者する者のビザ(在留資格)が就労ビザであること。
(留学ビザでも呼び寄せはできます)
☑ 日本で一緒に暮らせる経済力があること。

配偶者や子供を呼べない在留資格について

扶養のできる収入がある場合でも、下記の在留資格で日本に滞在している方は、「家族滞在ビザ」を使って配偶者や子どもを呼び寄せることはできません。

・公用
・技能実習
・特定活動1号
・日本語学校に通う留学生(大学・大学院では可)
・研修
・家族滞在(成人後もしばらく大学などに通い扶養を受けているケース)
・特定活動(ワーキングホリデーなど)
・短期滞在

 

家族滞在で呼べる「子」の範囲はどこまで?

子の年齢について

上述の通り、家族滞在ビザでは、は「配偶者」と「子」を呼ぶことができます。

家族滞在ビザで呼ぶことのできる、「子」には、結婚して生まれた子ども結婚していなくても認知された子ども、そして、普通養子特別養子が含まれます。

子の年齢については制限がありません。ただし、家族滞在ビザは子の年齢が上がるにつれてビザの取得が難しくなります。

※ 既に高校を卒業している場合(18歳以上)ですと、働いて自立もできる年齢のため、親の扶養を受ける理由や、日本に来た後の生活についてより詳しく説明する必要があります。

※ 就学による来日でも18歳で家族ビザ申請をした場合は不許可になる可能性が高いといえます。この場合、家族滞在ビザではなく、留学ビザでの申請を考えます。

 

(参考) 養子縁組をした外国人の子どもの在留資格について

「家族滞在」となるケース

「外交、公用、短期滞在、家族滞在、特別活動」以外の法別表第1の在留資格をもって在留資格をもって在留する者の扶養を受ける養子

例)養親:外国人
  養子:外国人
養子の年齢制限はなし。

「定住者」となるケース

次のいずれかに該当する者の扶養を受けて生活する6歳未満の養子
[日本人]
[永住者]
[1年以上の在留期間を指定されている定住者]
[特別永住者]
例)養親:日本人
  養子:6歳未満の外国人

「日本人の配偶者等」となるケース

民法817条の2の規定による特別養子

例)養親:日本人
  特別養子:外国人

 

家族滞在ビザ申請にあたっての注意点

<離れて暮らしていた期間が長いケース>

家族滞在ビザの申請で最も多いケースは、親が先に日本に渡り就労ビザで働き、その後に子供を日本に呼び寄せるパターンです。
ただし、この際に注意が必要なのは、親子が離れている期間が長くなるほど、家族滞在ビザの取得が難しくなる点です。入国管理局は、これまで本国で他の人が子供を育てていた理由、その状況がどのように変化したのか、なぜ今になって日本に呼び寄せるのか、といった点を疑問視します。
申請者側にはこれらの事情を明確に説明する責任があり、不十分な説明では家族滞在ビザが不許可となる可能性が高まります。

<収入面で不安があるケース>

奥さんや子どもと一緒に暮らす場合、収入だけで生活費がまかなえないと判断されると、家族滞在ビザが不許可となる可能性が高くなります。しかし、現在の収入が十分でなくても、貯金が十分にあったり、支出を抑えた生活が可能であれば、問題ないケースもあります。そのため、毎月の収入額や家賃、生活費、そして貯金額などを具体的に示し、「奥さんや子どもを日本に呼び寄せても十分に生活を維持できる」という内容を、文章でしっかりと説明することが大切です。

家族滞在ビザに関してよくいただく質問

・現在、「留学」のビザを持ち、日本の大学院で学んでいます。本国には結婚した妻がいます。留学の期間を延長することもあり、このまま離れたまま暮らすのは不安です。
留学生でも妻の呼び寄せはできますか?
⇒ 留学生でも「家族滞在」のビザで妻や子呼び寄せは可能です。ポイントは日本での扶養能力です。家族滞在ビザは扶養の意思とそれが資金面で可能なことの証明が必要です。
審査は、妻や子を呼び寄せた時に日本で必要となる生活費と、本人の資金面での安定性(資格外活動での収入、本国の親族からの資金援助、預貯金、など)とのバランスから総合的に判断がなされます。

 

・親、兄弟などの親族は家族滞在ビザで呼び寄せることができますか?
⇒親、兄弟などの親族は家族滞在ビザの対象となりません。

 

・婚約者や事実婚の相手を呼ぶことはできますか?
⇒正式に婚姻手続きを済ませた場合でないと呼び寄せはできません。
申請においては、婚姻届受理証明書や結婚証明書が必要となります。

 

・現在、技能実習生ですが家族滞在ビザで妻と子を呼べますか?
⇒技能実習ビザの方や特定技能1号ビザの方が,配偶者やお子様を「家族滞在ビザ」で日本へ呼び寄せることは認められておりません。

 

・子どもの呼び寄せには「定住者」という在留資格があるそうですが、「家族滞在」の在留資格とは異なるのでしょうか。違いがよく分かりません。
⇒定住者の在留資格を使った子の呼び寄せは、日本人との配偶関係を持っていることが前提となるビザです。例えば、日本人と国際結婚した外国人配偶者に本国(外国人の出身国)で過去に離婚歴があり、本国に実子がいるため、その子も日本に呼び寄せて一緒に暮らすといったケースです。

 

※子どもを家族滞在ビザで呼び寄せた後、日本に一定期間暮らし、その後、定住者ビザに変更するケースはあります。
「家族滞在」ビザを持って日本で暮らす外国人の子どもについては、小学校3年以降から中学、そして、高校卒業までおよそ10年以上日本で教育を受けた者については定住者への変更が認められるようになりました。
詳しくはこちら:外国人の暮らしと在留資格【家族滞在者⇒定住・特定活動】