「家族滞在」ビザとは――就労はできる?申請の条件やポイントは?

「家族滞在」とはどのような在留資格か

家族滞在ビザとは、主に就労ビザをもって滞在する外国籍の人の家族を対象とした在留資格です。

就労ビザは、日本で経済活動を行う人を対象としていますので、許可が下りるのは申請者本人のみです。
つまり、その家族は対象にはなりません。そのような外国人が、配偶者や子どもを日本に呼び寄せて、日本で一緒の生活を希望する場合に使う在留資格が「家族滞在」です。

ただし、ここでの「家族」とは配偶者と子どもであって、原則として両親や兄弟などは含まれません。
多くの外国人がこの在留資格を持ち日本で生活をしています。

 

家族滞在ビザはこんな時に取得します

✓日本での就職をタイミングにして、本国で暮らす妻を呼び寄せる

✓本国の子どもを呼び寄せて日本で一緒に暮らす

✓日本で結婚。二人とも外国籍であるが、相手の扶養に入ることになった
(例1:これまでは留学ビザで日本に滞在していたが、学校をやめて家族滞在に変更)
(例2:技術・人文・国際ビザで働いていたが、結婚を機会に仕事を辞めて家族滞在に変更)。

 

家族滞在ビザ取得のポイント

家族滞在ビザは、配偶者や子どもを日本に呼ぼうとする外国人に、扶養の意思があることが前提です。

妻や子どもが日本に来て仕事をする予定の場合は、「家族滞在」の在留資格にそもそもあてはまらないため、別のビザを検討する必要があります。つまり、仕事内容に応じた就労資格を個別に申請しなければならないということです。

また、同様の理由から、就労している外国人に、扶養するだけの経済力があることも重要です。

以下は、これらのポイントをまとめたものです。

〈家族滞在ビザ取得の4つのチェックポイント〉

☑ 配偶者と子について、書類で家族関係を証明できることが必要です。
☑ 配偶者と子は現在、扶養を受けている必要があります。
☑ 扶養者する者のビザ(在留資格)が就労ビザであること。
(留学ビザでも呼び寄せはできます)
☑ 日本で一緒に暮らせる経済力があること。

配偶者や子供を呼べない在留資格について

扶養のできる収入がある場合でも、下記の在留資格で日本に滞在している方は、「家族滞在ビザ」を使って配偶者や子どもを呼び寄せることはできません。

・公用
・技能実習
・特定活動1号
・日本語学校に通う留学生(大学・大学院では可)
・研修
・家族滞在(成人後もしばらく大学などに通い扶養を受けているケース)
・特定活動(ワーキングホリデーなど)
・短期滞在

 

家族滞在で呼べる「子」の範囲はどこまで?

子の年齢について

上述の通り、家族滞在ビザでは、は「配偶者」と「子」を呼ぶことができます。

家族滞在ビザで呼ぶことのできる、「子」には、結婚して生まれた子ども結婚していなくても認知された子ども、そして、普通養子特別養子が含まれます。

子の年齢については制限がありません。ただし、家族滞在ビザは子の年齢が上がるにつれてビザの取得が難しくなります。

※ 既に高校を卒業している場合(18歳以上)ですと、働いて自立もできる年齢のため、親の扶養を受ける理由や、日本に来た後の生活についてより詳しく説明する必要があります。

※ 就学による来日でも18歳で家族ビザ申請をした場合は不許可になる可能性が高いといえます。この場合、家族滞在ビザではなく、留学ビザでの申請を考えます。

 

(参考) 養子縁組をした外国人の子どもの在留資格について

「家族滞在」となるケース

「外交、公用、短期滞在、家族滞在、特別活動」以外の法別表第1の在留資格をもって在留資格をもって在留する者の扶養を受ける養子

例)養親:外国人
  養子:外国人
養子の年齢制限はなし。

「定住者」となるケース

次のいずれかに該当する者の扶養を受けて生活する6歳未満の養子
[日本人]
[永住者]
[1年以上の在留期間を指定されている定住者]
[特別永住者]
例)養親:日本人
  養子:6歳未満の外国人

「日本人の配偶者等」となるケース

民法817条の2の規定による特別養子

例)養親:日本人
  特別養子:外国人

 

家族滞在ビザ申請にあたっての注意点

<離れて暮らしていた期間が長いケース>

家族滞在ビザの申請で最も多いケースは、親が先に日本に渡り就労ビザで働き、その後に子供を日本に呼び寄せるパターンです。
ただし、この際に注意が必要なのは、親子が離れている期間が長くなるほど、家族滞在ビザの取得が難しくなる点です。入国管理局は、これまで本国で他の人が子供を育てていた理由、その状況がどのように変化したのか、なぜ今になって日本に呼び寄せるのか、といった点を疑問視します。
申請者側にはこれらの事情を明確に説明する責任があり、不十分な説明では家族滞在ビザが不許可となる可能性が高まります。

<収入面で不安があるケース>

奥さんや子どもと一緒に暮らす場合、収入だけで生活費がまかなえないと判断されると、家族滞在ビザが不許可となる可能性が高くなります。しかし、現在の収入が十分でなくても、貯金が十分にあったり、支出を抑えた生活が可能であれば、問題ないケースもあります。そのため、毎月の収入額や家賃、生活費、そして貯金額などを具体的に示し、「奥さんや子どもを日本に呼び寄せても十分に生活を維持できる」という内容を、文章でしっかりと説明することが大切です。

家族滞在ビザに関してよくいただく質問

・現在、「留学」のビザを持ち、日本の大学院で学んでいます。本国には結婚した妻がいます。留学の期間を延長することもあり、このまま離れたまま暮らすのは不安です。
留学生でも妻の呼び寄せはできますか?
⇒ 留学生でも「家族滞在」のビザで妻や子呼び寄せは可能です。ポイントは日本での扶養能力です。家族滞在ビザは扶養の意思とそれが資金面で可能なことの証明が必要です。
審査は、妻や子を呼び寄せた時に日本で必要となる生活費と、本人の資金面での安定性(資格外活動での収入、本国の親族からの資金援助、預貯金、など)とのバランスから総合的に判断がなされます。

 

・親、兄弟などの親族は家族滞在ビザで呼び寄せることができますか?
⇒親、兄弟などの親族は家族滞在ビザの対象となりません。

 

・婚約者や事実婚の相手を呼ぶことはできますか?
⇒正式に婚姻手続きを済ませた場合でないと呼び寄せはできません。
申請においては、婚姻届受理証明書や結婚証明書が必要となります。

 

・現在、技能実習生ですが家族滞在ビザで妻と子を呼べますか?
⇒技能実習ビザの方や特定技能1号ビザの方が,配偶者やお子様を「家族滞在ビザ」で日本へ呼び寄せることは認められておりません。

 

・子どもの呼び寄せには「定住者」という在留資格があるそうですが、「家族滞在」の在留資格とは異なるのでしょうか。違いがよく分かりません。
⇒定住者の在留資格を使った子の呼び寄せは、日本人との配偶関係を持っていることが前提となるビザです。例えば、日本人と国際結婚した外国人配偶者に本国(外国人の出身国)で過去に離婚歴があり、本国に実子がいるため、その子も日本に呼び寄せて一緒に暮らすといったケースです。

 

※子どもを家族滞在ビザで呼び寄せた後、日本に一定期間暮らし、その後、定住者ビザに変更するケースはあります。
「家族滞在」ビザを持って日本で暮らす外国人の子どもについては、小学校3年以降から中学、そして、高校卒業までおよそ10年以上日本で教育を受けた者については定住者への変更が認められるようになりました。
詳しくはこちら:外国人の暮らしと在留資格【家族滞在者⇒定住・特定活動】

無料相談

ビザの申請に不安がある場合は、まずは在留資格に詳しい行政書士に相談してみることをおすすめします。
早期に相談することで、問題点を把握し、ビザ取得の可能性を高めることができます。
当事務所は、神奈川県の東部を拠点にビザ申請の業務を承っております。
数多くある行政手続きの中でも、在留資格の申請は、お一人お一人の経歴や職歴等によって申請方法も異なり、許可に至るまでには様々なハードルがあります。
当事務所では、お客様のご状況を丁寧にヒアリングし、問題点を洗い出し、最適な申請プランをご提案いたします。
無料相談を行っておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
ご相談のお申し込みは、①お電話での相談申し込み ②「お申し込みフォーム」からの申し込みの2つの方法があります。
※相談は予約制となります。