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専門学校・大学を卒業後の在留資格について
当事務所では、日本の専門学校や大学、大学院で学ぶ外国籍の方から、学校を卒業した後の在留資格や、転職に伴う在留資格について相談をいただくことが、しばしあります。
そこでこの記事では、比較的新しいニュースである、①文部科学省認定の専門学校卒業生に関する「技術・人文知識・国際業務」への就業希望者に対する要件緩和、及び、②プログラム認定を受けた専門学校卒業生の特定活動46号への追加 を紹介します。
これらの変更により、今後、専門学校卒業後の就職先がさらに広がることが期待され、卒業生にとっても、採用側にとっても注目すべきニュースとなっています。
「技術・人文・国際」ガイドラインの緩和
外国人留学生が卒業後に日本で働く場合、「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得することが大変多いです。しかし、専門学校を卒業した方が、「技術・人文知識・国際業務」に従事するには、学校での専攻内容と就職先の業務との関連性について「相当程度の関連性が必要」と定められており、専攻内容と就職先の業務との関連性が厳密に審査され、就職先が限られることがありました。
この点について、2024年3月1日より、専門学校卒業の外国人留学生が就職先を広げることができるよう、下記のように関連性について、改訂が行われました。
ガイドラインの内容 (ガイドライン原文)
大学における専攻科目と従事しようとする業務の関連性については、従来より柔軟に判断しています(海外の大学についてもこれに準じた判断をしています。)。また、高等専門学校は、一般科目と専門科目をバランスよく配置した教育課程により、技術者に必要な豊かな教養と体系的な専門知識を身につける機関であるとされており、大学と同様、その目的を実現する ための教育を行い、その成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとするものとされている(同法第105条第2項)ことから、大学に準じた判断をしています。
他方、専修学校は、職業若しくは実際生活に必要な能力を育成し、又は教養の向 上を図ることを目的とするとされている(同法第124条)ことから、原則として専修学校における専攻科目と従事しようとする業務については、相当程度の関連性を必要とします。
ただし、「専修学校の専門課程における外国人留学生キャリア形成促進プログラム の認定に関する規程(令和5年文部科学省告示第53号)」第2条に定める文部科学大臣による認定を受けた専修学校の専門課程の学科を修了した者(以下「認定専修学校専門課程修了者」という。)については、企業等と連携して実習等の授業を行っていることや、日本社会に関する理解を促進する環境が整備されていることなどを認定要件とする専門課程を修了し、質の高い教育を受けたことにより、修得した知 識を応用できると考えられることから、専攻科目と従事しようとする業務の関連性 について、柔軟に判断することとしています。
また、専修学校の専門課程を修了した者が、従事しようとする業務に相当程度関連する科目を直接「専攻」したとは認められないような場合でも、履修内容全体を見て、従事しようとする業務に係る知識を習得したと認められるような場合におい ては、総合的に判断した上で許否の判断を行っているほか、関連性が認められた業務に3年程度従事した者については、その後に従事しようとする業務との関連性については、柔軟に判断します。
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について
出 入 国 在 留 管 理 庁 (最終改定令和6年2月)から抜粋
要件緩和のポイントまとめ
① 文部科学省の外国人留学生キャリア形成促進プログラム認定を受けた専修学校の専門課程を修了し、専門士または高度専門士の称号を取得した人が対象
② 専攻科目と従事しようとする業務の関連性について柔軟に判断
③ 専修学校の専門課程を修了した者が、従事しようとする業務に相当程度関連する科目を直接「専攻」したとは認められないような場合でも、履修内容全体を見て、従事しようとする業務に係る知識を習得したと認められるような場合においては、総合的に判断した上で許否の判断
④ 専修学校の専門課程を修了した者が、関連性が認められた業務に3年程度従事した者については、その後に従事しようとする業務との関連性については、柔軟に判断
このように、専攻内容と就職先の業務との関連性は、より柔軟に判断されるようになり、今後、専門学校を卒業した後の就職先が一層広がることが期待されています。これは卒業生にとっても、採用企業にとっても大きな注目ポイントといえるでしょう。
認定を受けた専門学校の卒業生等も特定活動46号の対象に
幅広い業務に従事できる特定活動46号
「特定活動」とは、現在日本に設けられている就労ビザ(就労のできる在留資格)に該当しない活動を認める制度で、「法務大臣が個々の外国人について特に活動を指定する在留資格」のことです。
代表的な特定活動の例としては、「インターンシップ」(9号など)や「ワーキングホリデー」(5号)などがあります。
ほかにも、外交官等の個人的な家事使用人等(1号など)既存の在留資格に当てはまりにくいものもありますし、2021年に行われた東京オリンピックの関係者とその配偶者等(48・49号)国際的な規模の行事等で設けられるものもあります。
「特定活動46号」もそのひとつで、日本に留学する外国人が大学・大学院卒業後に、留学で得た高い日本語能力を活用することで、幅広い範囲をカバーする技人国(技術・人文知識・国際業務)ビザの業務に加えて、サービス業務・製造業務への従事も可能とした在留資格です。
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これまで、「特定活動46号」の対象となる方は、日本の4年制大学を卒業し又は日本の大学院の課程を修了して学位を授与され、日本語能力試験N1相当の日本語能力を持つ外国人に限られていました。
しかし、令和6年3月からは、認定を受けた日本の専門学校を卒業し、高度専門士の称号を取得した方も、特定活動告示46号の対象となることになりました。これにより、専門学校を卒業した外国人留学生のキャリア形成の可能性がさらに広がることが期待されます。
新たに特定活動46号の対象となる方の詳細
① 文部科学大臣から「外国人留学生キャリア形成促進プログラムの認定」を受けた専門学校を修了し、高度専門士の称号を受け、 日本語能力試験N1相当の日本語能力を持つ外国人
② 日本の短期大学又は高等専門学校を卒業した者で、大学における一定の単位の修得等を行い、 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構の行う審査に合格し学士の学位を授与され、 日本語能力試験N1相当の日本語能力を持つ外国人
関連サイト:
(参考)文部科学省ホームページ>専門学校(専修学校専門課程)における「外国人留学生キャリア形成促進プログラム」認定(令和5年度)について
本記事では、専門学校を卒業した後の就業先が広がる新しい制度二つをご紹介しました。
数多くある行政手続きの中でも、在留資格の申請は、個々の経歴や職歴などによって必要書類が異なり、許可を得るまでにはさまざまなハードルがあります。
在留資格の申請において、ご不明点やご不安なことがあれば、ぜひ一度お気軽に「無料相談」をご利用ください。
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