同じもの?違うもの? -在留資格とビザの本来の違い-

初めて外国人の呼び寄せを行う担当者が、ビザ(査証) 在留資格 を似たものと考えてしまい混乱してしまうことはしばしあります。

それもそのはず、ビザ(査証)や在留資格は人によって呼び方が様々なので、こんがらがってしまっても仕方ありません。

この二つは同じもの?違うもの?

先に答えを言ってしまうと、違うものです。

しかしながら、「就労のできる在留資格」のことを慣用的に「就労ビザ」と言うこともあり、使う人や場面によっては同じものを意味していることもあります。
この点が混乱の原因と考えられます。

在留資格とビザ(査証)の本来の違いについて解説してみたいと思います。

 

◇ ビザとは身分証の一種

ビザ(査証)とは外国籍の方が日本に入国をする際の身分証明書の一種です。

ビザ(査証)は、在外公館 (海外の日本大使館・領事館) が、来日をする外国人について有効な旅券を所持していること、および、入国をさせて支障がないことを、日本の入国審査官に紹介する意味合いがあります。

日本への入国を希望する外国人は来日前に在外公館に査証の申請を行い、発給がされるとパスポートにシール形式で貼付されます。

ビザは推薦書の一種ですので、ビザを取得しているからと言って確実に入国することができるとは限りません。
入国の可否は入国審査官に裁量の権限があり、最終的な判断は法務大臣によって行われます

 

在留資格とは定められた内容・期間に基づき日本に滞在できる資格

ビザ(査証)が入国の審査に利用される証明書の一種であるのに対し、在留資格は日本に中長期滞在するための資格となります。

在留資格はビザ(査証)とは異なる手続きで入国前に申請を行い、在留資格認定証を発行してもらいます。そして、在留資格認定証に定められた内容で、定められた期間日本に滞在することができる仕組みとなっています。

在留資格は日本に3か月以上の中長期滞在する場合に必要で、3か月に満たない短期の滞在では申請の必要がありません。

認定された在留資格はその内容を明らかにするために、来日後に在留カードが交付されます。

日本国査証(JAPAN VISA)のサンプル

こちらは在ベトナム日本大使館(https://www.vn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/JP_VisaInst.html)に掲載の日本国査証(JAPAN VISA)のサンプル。査証はシールになっており、パスポートを1ページ分使ってはられます。

 

こちらは在留カードのサンプル。観光や商用といった短期滞在ではなく、日本に中長期間 (3カ月以上) 在留する外国人には必ず交付がされます。

 

ビザ(査証)とは?

ビザ(査証)とは入国の際に必要となる身分証明書の一種です。

在留資格とは?

在留資格とは外国人が日本に在留(暮らす)するために必要になる資格のことです。

 

◇ 日本から海外に行くときに査証(ビザ)申請をしたことがないのはなぜ?

海外に渡航したことがある方であれば、パスポート申請時に査証(ビザ)の申請を行ったことがないことに疑問を持たれる方も少なくないでしょう。

 

これは相互査証の免除措置が関係しています。名前の通り短期的な滞在であれば査証が免除されるという措置のことで、国同士が約束し商用や観光目的の短期の滞在では、お互いにビザ(査証)不要で入国することができるというものです。いわゆる「ビザなし渡航」といわれるものです。

 

日本は相互査証の免除措置を結んでいる国・地域がたいへん多いため、大半の国には査証なしで渡航ができ、また、逆に海外から日本に来る方の多くはパスポートのみで入国ができます。

ただし、相互査証の免除措置の国の人であっても、日本で報酬を受ける活動に従事する場合には査証が必要となります。

 

就労ビザとは就労のできる在留資格の俗称

3ヵ月以上の滞在で必要となる在留資格は、活動内容に応じて、現在、29種類が設けられています。
外国籍の方はいずれか一つの在留資格を取得して日本で暮らすことになります。

在留資格のおおまかな分類

就労が認められている在留資格
(在留資格で認められた範囲で働くことができる
外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、技能、興行、技能実習、特定活動、介護、特定技能
就労制限がない在留資格
日本人と同じように法律の範囲で仕事の選択ができる)
永住者、日本人の配偶者等、
永住者の配偶者等、定住者
原則として就労することができない在留資格
文化活動、短期滞在、留学、
研修、家族滞在

 

これらの在留資格は、就労のできる在留資格と、できない在留資格に大きく分類することができます。

例えば「留学」や「家族滞在」の在留資格は、原則、就労ができない在留資格となります (資格外活動の許可を取ればアルバイトは可)。

他方、「技術・人文・国際業」、「企業内転勤」、「経営・管理」、「技能」等の在留資格は、その在留資格で認められた範囲で就労ができます。

「就労ビザ」というビザは正式には存在しませんが、このように就労の認められた在留資格は、日常的には「就労ビザ」と呼ばれることが多々あります。

入管関係者や行政書士など専門家の間では用語を厳密に区別して使いますが、一般的には「在留資格」や「査証」は広くまとめてビザと表現されることが多く、このような呼び方は定着しているといえるでしょう。

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