ポイント制を活用した新しい在留資格 ー高度専門職ビザー 

高度専門職ビザとは

高度専門職ビザは比較的新しい在留資格です。

日本国内の活性化に資することが期待される高い資質を持つ外国人(高度外国人材)の受入れを促進するために2015年に創設されました。

高度専門職ビザは他のビザとは異なり、ポイント制を活用する点が特徴です。
他の在留資格と比較して様々な優遇措置もあり積極的に活用をしたい在留資格のうちの1つです。

ポイントは研究の業績や学歴、職歴、年収などの項目ごとに点数が定められており、ポイント計算表で合計70ポイント以上になったときに取得することができます。

下の表は、2012年~2022年の高度専門職ビザで滞在する外国人の人数です。

年ごとに高度人材は増加しており、今後もますます増えてゆくことが予想されます。

出入国在留管理庁HP>高度外国人材の受入れ状況等について>高度人材ポイント制の認定件数の推移

高度専門職1号と2号の違い

高度専門職ビザは、「高度専門職1号」と「高度専門職2号」の2に分けられます。

そして、高度専門職1号は活動内容に応じて、さらに(イ),(ロ),(ハ)の3つに分類がされます。

高度専門職1号(イ),(ロ),(ハ)に該当する具体的な職種は以下のようになります。

 

高度専門職1号 (イ)

 

高度学術研究分野

日本の公的機関や民間企業等との契約に基づいて行う研究、研究指導、または、教育活動。

具体例:大学等での教育活動,民間企業での研究

※これらの活動と併せて、教育や研究の成果を活かして事業を立ち上げ自ら事業経営をすることも可能です。

 

高度専門職1号 (ロ)

 

高度専門・技術分野

日本の公的機関や民間企業等との契約に基づいて行う自然科学または人文科学の分野に属する知識、または、技術を要する業務に従事する活動。

具体例:所属する企業での技術者として製品開発業務。企画立案業務,ITエンジニアとしての活動などの専門的な職種がこれに当たります。

※これらの活動と併せて,関連する事業を立ち上げ自ら事業経営をすることも可能です。

 

高度専門職1号の(イ)と(ロ)は、技術・人文知識・国際業務ビザの活動内容と重なる部分が多いです。
ただし,技術・人文知識・国際業務ビザの中で、国際業務に該当する活動は高度専門職1号(ロ)には該当しません。

例:通翻訳業など

 

高度専門職1号 (ハ)

 

高度経営・管理分野

日本の公的機関や民間企業等において事業の経営を行いまたは管理に従事する活動が該当します。

具体例:会社の経営や、弁護士事務所・税理士事務所などの経営・管理をする活動

※これらの活動と併せて、活動内容と関連する会社や事業所を立ち上げ,自ら事業経営することも可能です。

高度専門職1号は他のビザとは異なり、活動内容が細かく限定されず、複合的な在留活動が許容されている点に特徴があるといえます。

 

 

高度専門職2号 

高度専門職2号は、高度専門職1号で3年以上活動を行っていた方が対象で、ポイントが80点以上の方が取得できます。

 

具体的には、高度専門職1号 (イ)・(ロ)・(ハ)のいずれか、または、これらの複数の活動と併せて下記の在留資格で認められる活動ができます。

※「教授」,「芸術」,「宗教」,「報道」,「法律・会計業務」,「医療」,「教育」,「技術・人文知識・国際業務」,「介護」,「興行」,「技能」,「特定技能2号」の在留資格に対応する活動

 

このように高度専門職2号を取得すると大変幅の広い就労活動が可能となります。

在留期間は1号が「5年」で、2号に該当すると在留期間は「無期限」となります。

これは安定的に高度外国人材を雇用する企業側にとってもメリットといえるでしょう。

 

図解:【高度専門職1号と2号】

 

ポイント制度とは

 

『高度専門職1号』(イ)、(ロ)、(ハ)は、ポイント制の評価項目から採点され70点以上と認められた場合に許可されます。

ポイント制は「学歴」「職歴」「年収」「年齢」と「ボーナス」部分から構成されています。「ボーナス」部分には「実績」「資格」「学歴」「政策」などの要素で構成されております。

ポイント計算表は、学歴,職歴,年収,年齢,研究実績,資格,特別加算の各項目からなり、それぞれにポイントが付されています。

実際にポイント計算表を使って計算してみましょう。

高度専門職ポイント計算表はこちら→

 

高度専門職ビザの7つの優遇措置について

高度専門職ビザの取得で新たに付与される優遇措置については以下のようなものがあります。

 

1.親の帯同

高度外国人材またはその配偶者の7歳未満の子を養育する場合には、高度外国人材またはその配偶者の親を日本に呼び寄せることができます。ただし、高度外国人材の世帯年収が800万円以上である場合に限られます。

 

2.家事使用人の帯同

高度外国人材の世帯年収が1000万円以上である場合、家事使用人を新たに雇用し、日本に帯同することができます。

 

3.在留期間「5年」の付与

高度専門職1号は、最長の在留期間である「5年」の在留期間が一律で与えられます。

 

4.配偶者の就労

高度専門職ビザで在留する方の配偶者は、時間制限なく就労することができます。

 

5.複合的な在留活動の許容

高度専門職ビザで在留する方は、主となる活動と併せて、これと関連する事業経営活動を自ら行うことが認められています。

 

6.入国・在留手続の優先処理

高度外国人材の入国・在留審査は、他のビザの外国人より優先的に処理が行われます。

 

7.永住許可要件の緩和

ポイント計算表で70点以上の高度外国人材は3年、80点以上の高度外国人材は1年の日本在留で永住許可が認められます

 

 

みなし高度人材⇒永住権の申請について

 

永住申請には、引き続き10年以上日本に住んでなければ永住申請できないという住居要件があります。

しかし、この要件に関して、高度人材の方は、以下のように要件が緩和されています。

 

[ポイントが70点以上の方は、住居要件は3年]

[ポイントが80年以上の方は、住居要件は1年]

 

この高度人材の優遇措置については、申請人が現時点では高度人材の在留資格を保持してなくても「みなし高度人材」の制度を使うことで優遇対象になるケースがあります。

 

例えば、今は技術・人文・国際業務の在留資格で活動をしているが、ポイントを計算してみると実際は70ポイント、あるいは80ポイントあったケースです。

このようなケースに該当する時は、3年以上前からポイントが70点以あったこと、あるいは、1年以上前から80点があったことの証明を永住申請の際に行い、かつ他の要件を満たしていれば、永住権の取得が可能になります。

注意点としては、永住の審査は半年ぐらいかかることが見込まれます。この半年の審査の間も、現在のポイント維持できることの証明が必要になります。そのため申請時には、現在勤務している企業から収入見込み証明書を取得して、年収を維持できること等を証明の上、申請手続きを行います。

 

本記事では、高度専門職ビザについてご紹介しました。
数多くある行政手続きの中でも、在留資格の申請は、個々の経歴や職歴などによって申請方法が異なり、許可を得るまでにはさまざまなハードルがあります。
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