技術・人文知識・国際業務ビザを取得するための要件
本ページでは、もっともポピュラーな就労ビザである、技人国(技術・人文知識・国際業務)の在留資格を取得する際にポイントとなる要件を解説します。
技人国ビザそのものについて知りたい方は「技人国(技術・人文知識・国際業務)ビザ ―もっとも取得者の多い就労ビザ―」をご参照ください。
技人国ビザ取得の5つの要件
外国人が技人国ビザを取得して日本で働くには大きく次の5つの要件が必要です。
1.卒業した大学や専門学校で専攻した内容と日本で行う仕事との関連性
2.本人と会社の間の労働契約
3.日本人と同等以上の報酬を受け取ること
4.勤務先会社(招聘機関)の安定性・継続性があること
5.本人の素行に問題がないこと
以下より一つずつ取り上げていきます。
1.卒業した大学や専門学校で専攻した内容と日本で行う仕事との関連性
技人国ビザの審査では、卒業した大学や専門学校で専攻して学んだ内容と、職務内容のリンクが問われます。
次の表の「許可基準」の行をご参照ください。
図解:【技術・人文知識・国際業務ビザを取得するための学歴・実務経験】
この関連が明確に説明できないと、他の要件がいくら整っていても不許可となります。
職種によっては関連性の説明が難しい点もあるため、様々な証明資料を集めるとともに、意を尽くした説明書の作成が必要です。
なお、大学は、日本の大学に限らず、日本の学校教育法に基づく大学、短期大学にあたる申請人本国の大学も含まれます。
ただし、専門学校は日本の専門学校に限られます。
大学や専門学校を卒業していない場合は3年、ないし、10年の実務経験が必要です。職務経験の有無は書類で証明をするため、過去に在籍した会社から在職証明書をもらうことなどが必要です。もしも前の会社が既になくなっている場合や、連絡ができないケースでは、実務経験の証明が難しくなります。 証明する方法がないと就労ビザの許可は取れなくなります。
ただ、申請人が情報処理に関する技術または知識を必要とする業務に従事しようとする場合には、法務大臣が告示をもって定める情報処理技術に関する試験に合格していること、または、その資格を保有していれば、許可基準を満たすことができます。
つまり、定められた資格の取得で大学卒業などの学歴、及び、実務経験がなくても許可となる可能性があります。
上記に該当する情報処理技術に関する試験ならびに情報処理技術の資格については法務省が出している「IT告示」ご参照ください。
ちなみに広報、宣伝、海外取引業務、デザイナー、 商品開発などの分野については実務経験に専門学校等で学んだ期間も含めることができる点に注目してください。ただ、ただし、実際には行う仕事内容によって、「国際業務」ではなく「人文知識」の職種として扱われることもありますので注意しましょう。
2.本人と会社の間の就労に関する契約書
近年、日本人を対象とした雇用でもさまざまな労働契約の形態が増えてきていますが、必要な書類を整えれば外国籍社員を採用する場合も多様な形態が可能になってきています。ただ、いずれの場合も、日本での就職が決まっていることが、就労ビザ取得の前提となるため、雇用契約書は必須の提出書類となります。
正社員ではなく、派遣契約で仕事を始めることもあると思います。この場合は派遣元の会社との契約期間、更新の有無、給与額、派遣元の財務状況、などを説明することにより、継続性や安定性が認められれば就労ビザを取ることはできます。
請負契約やフリーランスのプログラマーや通翻訳者として働く場合も、契約期間や契約金額、契約先の会社の状態などから継続性や安定性が認められれば、技能・人文知識・国際業務ビザの取得が可能です。
3.日本人と同等以上の報酬を受け取ること
支払う報酬額についても注意が必要です。具体的な金額は、働く地域や業界、業務内容によっても変わりますが、日本人と同等以上の給与が必要となります。
一定の金額で明確に線引きをするのではなく、個々の企業の給与賃金体系を基礎に、同種の業務に従事する日本人と同等額以上であるかが判断されます。
4.勤務先会社(招聘機関)の安定性・継続性があること
就労ビザの取得にあたっては、雇用主側も評価の対象となります。
大企業や安定した上場企業あればまず問題はありません。また、社員が数名の小さな会社でも取れます。
ポイントは会社の安定性と事業の継続性で、外国人に報酬が十分に支払えることが必要です。その他、小さな会社では適切な勤務場所や事務所が確保されていることも重要です。まだ立ち上がったばかりの一人会社の社長から外国人雇用の相談を受けることがあります。
一人会社でも適切な事業計画書に基づいた将来の見通しを示すことで就労ビザの取得が見込まれます。
二期目以降の会社は、 決算報告書で安定性と継続性が審査されます。売り上げの減少などにより、決算書の内容がよくない場合は、新たな事業計画書を作成するなど今後の事業展開を提示することで就労ビザ許可の能性は十分にあります。
5.本人の素行に問題がないこと
申請人の前科・犯罪歴、運転経歴、交通事故歴、その他、破産歴、納税状況、重加算税、年金支払い状況、申請者の家族の素行なども審査に影響します。
技人国ビザ申請の際には事前に要件の確認を
以上が技術・人文知識・国際業務の在留資格申請の際に重視されるポイントです。
提出書類については、出入国在留管理庁(旧・入国管理局)のウェブサイトに記載があり、こちらをチェック表代わりに使うことが可能です。
ただ、会社の規模等によってカテゴリーが設けられており、該当するカテゴリーによって必要となる書類も異なってきますので、ご注意ください。
『技術・人文知識・国際業務ビザ』 申請に必要な書類はこちら
「技術・人文知識・国際業務」に係る提出書類一覧【カテゴリー1・2・3・4共通】
「技術・人文知識・国際業務」に係る提出書類一覧【カテゴリー3・4】
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