同じもの?違うもの? -在留資格とビザの本来の違い-

初めて外国人の呼び寄せを行う担当者が、ビザ(査証) 在留資格 を似たものと考えてしまい混乱してしまうことはしばしあります。

それもそのはず、ビザ(査証)や在留資格は人によって呼び方が様々なので、こんがらがってしまっても仕方ありません。

この二つは同じもの?違うもの?

先に答えを言ってしまうと、違うものです。

しかしながら、「就労のできる在留資格」のことを慣用的に「就労ビザ」と言うこともあり、使う人や場面によっては同じものを意味していることもあります。
この点が混乱の原因と考えられます。

在留資格とビザ(査証)の本来の違いについて解説してみたいと思います。

 

◇ ビザとは身分証の一種

ビザ(査証)とは外国籍の方が日本に入国をする際の身分証明書の一種です。

ビザ(査証)は、在外公館 (海外の日本大使館・領事館) が、来日をする外国人について有効な旅券を所持していること、および、入国をさせて支障がないことを、日本の入国審査官に紹介する意味合いがあります。

日本への入国を希望する外国人は来日前に在外公館に査証の申請を行い、発給がされるとパスポートにシール形式で貼付されます。

ビザは推薦書の一種ですので、ビザを取得しているからと言って確実に入国することができるとは限りません。
入国の可否は入国審査官に裁量の権限があり、最終的な判断は法務大臣によって行われます

 

在留資格とは定められた内容・期間に基づき日本に滞在できる資格

ビザ(査証)が入国の審査に利用される証明書の一種であるのに対し、在留資格は日本に中長期滞在するための資格となります。

在留資格はビザ(査証)とは異なる手続きで入国前に申請を行い、在留資格認定証を発行してもらいます。そして、在留資格認定証に定められた内容で、定められた期間日本に滞在することができる仕組みとなっています。

在留資格は日本に3か月以上の中長期滞在する場合に必要で、3か月に満たない短期の滞在では申請の必要がありません。

認定された在留資格はその内容を明らかにするために、来日後に在留カードが交付されます。

日本国査証(JAPAN VISA)のサンプル

こちらは在ベトナム日本大使館(https://www.vn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/JP_VisaInst.html)に掲載の日本国査証(JAPAN VISA)のサンプル。査証はシールになっており、パスポートを1ページ分使ってはられます。

 

こちらは在留カードのサンプル。観光や商用といった短期滞在ではなく、日本に中長期間 (3カ月以上) 在留する外国人には必ず交付がされます。

 

ビザ(査証)とは?

ビザ(査証)とは入国の際に必要となる身分証明書の一種です。

在留資格とは?

在留資格とは外国人が日本に在留(暮らす)するために必要になる資格のことです。

 

◇ 日本から海外に行くときに査証(ビザ)申請をしたことがないのはなぜ?

海外に渡航したことがある方であれば、パスポート申請時に査証(ビザ)の申請を行ったことがないことに疑問を持たれる方も少なくないでしょう。

 

これは相互査証の免除措置が関係しています。名前の通り短期的な滞在であれば査証が免除されるという措置のことで、国同士が約束し商用や観光目的の短期の滞在では、お互いにビザ(査証)不要で入国することができるというものです。いわゆる「ビザなし渡航」といわれるものです。

 

日本は相互査証の免除措置を結んでいる国・地域がたいへん多いため、大半の国には査証なしで渡航ができ、また、逆に海外から日本に来る方の多くはパスポートのみで入国ができます。

ただし、相互査証の免除措置の国の人であっても、日本で報酬を受ける活動に従事する場合には査証が必要となります。

 

就労ビザとは就労のできる在留資格の俗称

3ヵ月以上の滞在で必要となる在留資格は、活動内容に応じて、現在、29種類が設けられています。
外国籍の方はいずれか一つの在留資格を取得して日本で暮らすことになります。

在留資格のおおまかな分類

就労が認められている在留資格
(在留資格で認められた範囲で働くことができる
外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、技能、興行、技能実習、特定活動、介護、特定技能
就労制限がない在留資格
日本人と同じように法律の範囲で仕事の選択ができる)
永住者、日本人の配偶者等、
永住者の配偶者等、定住者
原則として就労することができない在留資格
文化活動、短期滞在、留学、
研修、家族滞在

 

これらの在留資格は、就労のできる在留資格と、できない在留資格に大きく分類することができます。

例えば「留学」や「家族滞在」の在留資格は、原則、就労ができない在留資格となります (資格外活動の許可を取ればアルバイトは可)。

他方、「技術・人文・国際業」、「企業内転勤」、「経営・管理」、「技能」等の在留資格は、その在留資格で認められた範囲で就労ができます。

「就労ビザ」というビザは正式には存在しませんが、このように就労の認められた在留資格は、日常的には「就労ビザ」と呼ばれることが多々あります。

入管関係者や行政書士など専門家の間では用語を厳密に区別して使いますが、一般的には「在留資格」や「査証」は広くまとめてビザと表現されることが多く、このような呼び方は定着しているといえるでしょう。

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日本に何種類のビザがある?

◇在留資格は大きく3つに分類ができる

在留資格とは定められた内容・期間に基づき日本に滞在できる資格のことで、一般的には、在留資格はビザと呼ばれることがあります。

日本に入国する際には、活動する内容や目的・期間を予め入国前に申請し、在留資格認定を受ける必要があります。在留資格は活動内容に応じて多くの種類が設けられていますが、日本で行おうとする活動が、いずれの在留資格にも該当しない場合には、日本への上陸、及び、滞在は認められません。

在留資格(ビザ)は大きく3つに分類されます。

・定められた範囲で就労が認められているビザ
・就労の制限が全くないビザ
・就労することのできないビザ

これらすべて合わせると日本には、現在29種類のビザがあります。

◇ 日本のビザ全29種類

日本のビザ全29種類

◇ 就労活動が認められる資格と認められない資格

就労活動が認められる資格と就労活動が認められない資格があることを理解しておくことは大切です。
たとえば日本の大学に留学に来ている大学生は、留学ビザにて日本に滞在することになりますので、就労することはできません。留学ビザで報酬を得る活動をすることは、原則、禁じられているのです(資格外活動の許可を取ればアルバイト等はできます)。

では就労制限がないビザの場合はどうでしょうか。
就労制限がないビザは身分地位に基づく在留資格と言い、永住者、永住者の配偶者、定住者、また、日本人の配偶者等の在留資格で日本に暮らす外国籍の方がこの分類に該当します。

就労制限がないため基本的に日本人と同様の扱いにて就労することができますし、就労しなくても問題ありません。職業の種類や時間的制約もなく、日本人と同様に法律の範囲内で働くことができます。

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在留期間更新― 結果を待っている間に在留期間が満了―

◇ ビザ(在留資格)は更新が必要

ビザ(在留資格)には、日本で行うことのできる活動の範囲と、日本に在留できる期限が定められています。

そのため、在留期間の満了が迫ってきた時は、在留期間更新の申請を行わなければなりません。

万が一この更新申請を怠ってしまうと、不法滞在となり、場合によっては国外退去の処分がなされます。

このように大事な更新申請ですが、満了日間際に申請をしたため、更新可否の結果が分かる前に現在の在留期間が切れてしまうケースがあります。

このような時はどうすればよいでしょうか。

結論から言いますと、慌てる必要はなく、現在の在留資格のまましばらく在留ができます。

引き続き在留のできる具体的な期間は出入国管理及び難民認定法第二十条で次のように規定されております。

出入国管理及び難民認定法

第二十条

6 第二項の規定による申請があつた場合(三十日以下の在留期間を決定されている者から申請があつた場合を除く。)において、その申請の時に当該外国人が有する在留資格に伴う在留期間の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、当該外国人は、その在留期間の満了後も、当該処分がされる時又は従前の在留期間の満了の日から二月を経過する日が終了する時のいずれか早い時までの間は、引き続き当該在留資格をもつて本邦に在留することができる。

※ 第二十条は在留資格の変更に関しての規定ですが、この規定は在留期間の更新においても準用されます。

つまり、申請結果が判明するまでか、あるいは、満了日から2ヶ月間のどちらか早い時までは引き続き在留ができます。この延長された在留期間を「特例期間」と呼びますが、この期間は日本における活動をこれまで通り行うことができ、また、みなし再入国許可による出国・再入国もできます。

このような特例期間があるため、不法滞留の状態にはなりませんが、在留期間更新の申請は、在留期限が迫ったぎりぎりに行うのではなく、計画的に余裕をもった日程で申請することを心がけましょう。

◇ 在留期間更新の申請ができる期間

注)2019年11月時点での情報となります

6か月以上の在留期間を有する者にあっては在留期間の満了するおおむね3か月前から申請可能となります。

※ただし,入院,長期の出張等特別な事情が認められる場合は、3か月以上前から申請を受け付けることもあります。事前に、申請される地方出入国在留管理官署へお問い合わせ下さい。

在留資格変更の申請ができる期間

注)2019年11月時点での情報となります

在留資格の変更の事由が生じたときから在留期間満了日前まで申請が可能です。

「企業内転勤」ビザとは――申請の要件や対象となる会社の種類は?

「企業内転勤」ビザどのような在留資格?

日本で経済活動をしようとする外国籍の人は、職務内容に対応した就労ビザを取得しなければなりません。

例えば、日本の大学で教鞭を取るために来日する外国籍の研究者は「教授」ビザを取得し、あるいは、プログラマーとして日本の企業に勤める外国籍の会社員は「技人国(技術・人文知識・国際業務)」ビザを取得するなど、数多くあるビザの中から該当するビザを一つ取得して日本に在留することとなります。

これからご紹介する企業内転勤ビザは、海外の系列会社から日本へ外国人社員を呼び寄せる場合など、「一定の関係を有する外国の企業等から日本国内の企業等に転勤」をする場合に使われます。例えば、東京に本店がある会社が、ニューヨーク支店から本店に人事異動を行いたい場合などが該当します。 

・企業内転勤ビザの対象となる会社とは

なお、この「一定の関係」の範囲については、審査要領で明確に範囲が定められています。
取引関係があるのみでは対象とならず、基本的には、同一会社内での異動(本店⇔支店)、及び、グループ会社内での異動が企業内転勤ビザ対象となります。

 

企業内転勤ビザの特徴

企業内転勤ビザには大きく2つの特徴があります。

①企業内転勤ビザにより行うことができる活動の範囲

技術・人文知識・国際業務ビザで許可されている活動内容と同一です。
それ以外の活動は認められていません。

 

②企業内転勤ビザで必要となる学歴や実務経験

申請人が転勤する直前に日本の本店,支店その他の事業所に1年以上継続して勤務していたことが要件です。そのため、大卒者でない方や実務経験が浅い方でも企業内転勤ビザの対象となります。

(注意事項
転勤前の一年間に従事していた仕事は「技術・人文知識・国際業務」ビザに該当する業務であることが必要です。
そのため、外国の親会社に3年勤務しているものの、その間製造ラインでの現場作業に従事していた場合には、対象となりません。転勤後、日本で行う仕事は、技人国ビザの範囲であれば、業務内容はこれまでの業務と同一でなくても問題はありません。

 

企業内転勤ビザを利用するよくあるケース

企業内転勤ビザは、以下のような場合に利用されることが多いです。

    • ◇ 日本の企業と海外企業の間で新設会社を設立。海外企業の親会社から日本に社員を出向させたい場合
    • ◇ 世界各国に事業を持つ国際的企業において、即戦力として、海外から経験のある外国人社員を日本に転勤させる場合
    • ◇ 技術移転などのために、現地の外国人開発責任者を日本に転勤させる場合
    • ◇ 高いスキルを持つ人材であるが、高卒のため、技術・人文知識・国際業務ビザの許可基準である学歴の要件を満たしていない。しかしながら、海外子会社で既に1年以上継続勤務をしており、企業内転勤ビザで日本に転勤をさせたい場合

 

企業内転勤の対象となる会社の範囲

次に、企業内転勤の対象となる会社の範囲について図解でみてみましょう。

親会社と子会社

 

パターン①親会社⇔子会社 (青い線の関係)
パターン②子会社⇔子会社 (オレンジの線の関係)

企業内転勤ビザの対象となる会社の範囲(親会社と子会社) 

※曾孫会社と曾孫会社の間での異動(連結孫会社による子会社間の異動)は企業内転勤の対象となりません。しかしながら、曾孫会社が親会社の子会社とみなされる出資関係がある場合は企業内転勤の対象となります。

関連会社

 

パターン③親会社⇔親会社の関連会社(青い線の関係)
パターン④子会社⇔子会社の関連会社(オレンジの線の関係)


企業内転勤ビザの対象となる会社の範囲(関連会社)
※関連会社間の異動は企業内転勤の対象となりません。

企業内転勤ビザで働く社員の出向について

企業内転勤ビザで採用した社員を出向させる時は注意が必要です。

出向とは場面によって様々な意味で使われますが、ここでは「労働者が出向元と何らかの関係を保ちながら、出向先との間において新たな雇用契約関係に基づき一定期間継続的に勤務する形態」のことを指します。

日本の子会者間の出向は問題がありません。しかしながら、経営指導や技術指導などを目的として、出向元の企業に籍を残したまま、資本関係のない取引先や顧客先とも雇用契約を結んで働く、いわゆる在籍型出向は認められていません。

また、もともと勤めていた企業を退職して移籍する転籍出向は、実質的には出向先の企業へ転職と同じため、企業内転勤ビザから別のビザへの変更が必要となってきます。


企業内転勤ビザの対象となる会社の範囲(出向)

 

「企業内転勤」ビザに関してよくいただく質問

・企業内転勤ビザと、技術・人文・国際ビザとの違いが今一つ分かりません。日本で行うことのできる仕事の範囲は技術・人文・国際ビザと同じということですが、企業内の異動を行う際、技術・人文・国際ビザを使って呼び寄せてはいけないのですか?

⇒ 企業内転勤ビザでも技術・人文・国際ビザを使って呼び寄せても実務上、問題はありません。
どちらのビザを選択すると良いかについては、次のポイントを検討して判断することをお勧めします。

① 申請人の学歴
⇒申請人が高卒の場合、技人国ビザの要件を満たさないため、企業内転勤ビザを考えます

② 今後も継続的な招聘を考えているか否か
企業内転勤ビザは、技人国ビザに比べると、日本と海外の法人の関係性を証する資料を揃えるなど、申請に手間がかかる場合があります。しかし、継続した異動が予想される場合は、企業内転勤ビザの方が学歴等にとらわれないで広い範囲で人材の異動ができる可能性があります。

③ 日本での滞在予定期間
⇒ 企業内転勤ビザは、期間を定めた転勤という要件があります。日本での滞在期間がはっきりとしないが、長期滞在が予想されるのであれば、技術・人文知識・国際業務ビザを考えます。

・企業内転勤ビザで異動をさせた場合、給与の支払いは日本と海外、どちらの事業所から出さなければなりませんか
⇒日本の事業所からでも、海外の事業所からでも支払は可能です。ただし、いずれの場合においても、給与額は「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上」でなければなりません。

「技能ビザ」とは――申請ができる職種の種類や条件は?
在留資格「技能」

技能ビザとはどのような在留資格か

技能ビザは、「産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動」をする外国籍の人に許可される在留資格です。

典型には、外国人の調理師やコックなど、外国料理を専門にした料理人が主な対象になります。外国の料理店で経験を積んだ料理人が日本の専門料理店で働くといったケースです。

また、その他にも、外国特有の建築土木の大工、貴金属・毛皮の技師、パイロットなども技能ビザに含まれます。スポーツの監督やコーチ、インストラクターもこのビザの対象です。

技能ビザの申請にあたっては、学歴などの要件は必要なく、一定の実務経験のあることが必要です。

 

「技能」ビザで調理師やコックとしての活動を行う場合

日本にはアジア料理をはじめ、世界の様々な料理店があります。

技能ビザはこのような外国料理のお店で調理等にあたる外国籍の方を対象としています。ただし、料理を行うのであれば何でもよいというわけではありません。

ここでの料理は、入管法(出入国管理及び難民認定法)にかかわる扱いで、「料理の調理又は食品の製造に係る技能で外国において考案され我が国において特殊なものを要する業務に従事する者で,次のいずれかに該当するもの 」(出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令(平成2年法務省令第16号))と、外国において考案されたものであることが要件として定められています。

そのため、日本料理店や日本の居酒屋などでは取得ができず、また、調理の補助業務ではこのビザは取得ができません。

また、技能ビザはお店への勤務が前提となります。自身がお店のオーナーシェフなどになる場合は、技能ビザのまま調理に携わることはできず、[経営・管理]など異なったビザへの変更が必要です。

料理人が技能ビザを取得するための要件

◇専門料理店での実務経験が10年以上あること
(外国の教育機関で調理や食品製造に関する科目を専攻した期間も含まれます)※ 実務経験のみで、学歴は要件にありません。専門の料理人としての経験が10年以上必要で、その立証がポイントとなります。※タイ料理人のみ5年以上の実務経験で取得できます

 

証明には、過去の勤務先から「在職証明書」を取得します。ケースによっては在職証明書を申請人の国で公正証書にした上で入国管理局に提出します。

10年以上の実務経験となると長いため、複数のお店で働いているケースも多くなります。記録をたどり、すべてのお店から証明書を取らなければなりません。

 

スポーツ指導者やパイロットなどその他の職種で「技能」ビザを取得する場合

料理人の他にも、省令で定められた、スポーツ指導者、パイロット、外国特有の製品製造者、ソムリエなども技能ビザの対象です。
細かく技能ビザの対象となる仕事と取得の条件をみてみましょう。

 

在留資格 「技能」調理師以外の活動

外国に特有の建築または土木に係る技能について10年(当該技能を要する業務に10年以上の実務経験を有する外国人の指導監督を受けて従事する者の場合に あっては5年)以上の実務経験(外国の教育機関において当該建築または土木に係る科目を専攻した期間を含む)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの

外国に特有の製品の製造または修理に係る技能について10年以上の実務経験(外国の教育機関において当該製品の製造または修理に係る科目を専攻した期間を含む)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの

宝石、貴金属または毛皮の加工に係る技能について10年以上の実務経験(外国の教育機関において当該加工に係る科目を専攻した期間を含む)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの

動物の調教にかかる技能について10年以上の実務経験(外国の教育機関において動物の調教に係る科目を専攻した期間を含む)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの

石油探査のための海底掘削、地熱開発のための掘削または海底鉱物探査のための海底地質調査に係る技能について10年以上の実務経験(外国の教育機関において 石油探査のための海底掘削、地熱開発のための掘削または海底鉱物探査のための海底地質調査に係る科目を専攻した期間を含む)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの

航空機の操縦に係る技能について1000時間以上の飛行経歴を有する者で、航空法第2条第17項に規定する航空運送事業の用に供する航空機に乗り組んで操縦者としての業務に従事するもの

スポーツの指導に係る技能について3年以上の実務経験(外国の教育機関において当該スポーツの指導に係る科目を専攻した期間および報酬を受けて当該スポーツ に従事していた期間を含む)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの、または、スポーツの選手としてオリンピック大会、世界選手権大会その他の 国際的な競技会に出場したことがある者で、当該スポーツの指導に係る技能を要する業務に従事するもの

ぶどう酒の品質の鑑定、評価および保持ならびにぶどう酒の提供(以下「ワイン鑑定等」という)に係る技能について5年以上の実務経験(外国の教育機関においてワイン鑑定等に係る科目を専攻した期間を含む)を有する次のいずれかに該当する者で、当該技能を要する業務に従事するもの
(1)ワイン鑑定等に係る技能に関する国際的な規模で開催される競技会(以下「国際ソムリエコンクール」という)において優秀な成績を収めたことがある者

(2)国際ソムリエコンクール(出場者が1国につき1名に制限されているもの に限る)に出場したことがある者
(3)ワイン鑑定等に係る技能に関して国(外国を含む)もしくは地方公共団体(外国の地方公共団体を含む)またはこれらに準ずる公私の機関が認定する資格で法務大臣が告示をもって定めるものを有する者

上記どれか1つの要件を満たし、給料が『日本人と同等以上』であれば「技能ビザ」の要件を満たします。

色々な職業が並んでいますが、まずは一番上の「建築技術者」にご注目ください。

近年、建築現場などで働く外国人を目にすることは珍しいことではなくなりましたが、そうして働かれている方の多くは「技能」ビザではありません。

国土交通省が公開している『建設分野における外国人材の受け入れ』という資料では、建設業に従事する外国籍人材116,789人のうち、技能実習生が70,489人(約60.4%)ともっとも多く、特定技能で働かれる方12,776人(約11%)と合わせ、7割以上の方がこの2つの在留資格を持っているそうです(2022年)。

「技能」ビザがあるのになぜ?と思ってしまいがちですが、「技能」ビザの要件の部分をよくみると「外国に特有の建築又は土木にかかわる技能」とあります。

つまり、同じ建築物を建てる場合でも、それが外国風の建物で、建築する際に特別な技術が必要となるようであれば、「技能」ビザが必要になるということです。翻って言えば、国内の通常の建設作業に従事することができない、ということでもあります。

そのほかについても、「外国特有の製品の製造・修理」や「宝石・貴金属・毛皮加工」、「動物の調教師」、「ソムリエ」など、かなり専門的な知識あるいは経験が必要な職業が並んでいます。

「技能」ビザの申請にあたっては、これらの要件を満たすだけの知識の習得や実績が条件になります。

 

採用するお店側が注意すること

就労ビザの取得というと、どうしても申請者(外国籍従業員)の経歴に目が向きがちですが、料理店等、雇用者側が問題となる場合もあります。

例えば、外国料理店が新たに料理人を雇用するため、実務経験を十分に満たした外国人調理師の認定申請をしたが不許可になった例がそれです。

ここでの問題は、その店で以前に雇用をしていた外国人調理師の報酬に問題がありました。このケースでは過去の賃金台帳の提出が求められていましたが、外国人調理師の賃金が一律に低く抑えられており、その合理的な理由が説明できませんでした。

技能ビザにおいては、日本人と同等額以上の報酬を受けることの他、会社の経営の安定性・継続性も審査の対象となります。過去の外国人雇用に問題点があったため、新たな外国人雇用が難しくなってしまったケースは多々あります。社会保険への加入なども含め、労務環境の整備には十分な注意が必要です。

〈技能ビザの取得において、実務経験以外にチェックする項目〉

日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること
雇用契約、請負契約などを結んだ会社の経営の安定性・継続性
過去に在留状況の不良がないこと
新規従業員の技能ビザ申請にあたっては、申請者の提出書類だけではなく、申請者の労働環境や雇用者側の採用実績にも十分ご注意ください。 
 

技能ビザ申請に関してよくいただく質問

・技術・人文・国際ビザの在留資格の中には ”技術” がありますが、”技能” と何が違うのですか?
⇒ 技術・人文・国際の在留資格にある“技術”は「学術上の素養等の条件を含めて理論を実際に応用して処理する能力」で「技能」の在留資格は「個人が自己の経験の集積によって有している能力」となります。
おおまかに表現すると、技術・人文・国際の在留資格にある“技術”は大学などで習得した知識を活用した仕事にあたり、「技能」の在留資格は現場の経験から高度に練成され、体得された技といえます。

 

・いくつもの店舗で料理の修行をしており、経験が10年を超えていることは間違いありません。
過去に努めたお店の中には、既に閉店してしまって連絡がとれない店もあります。どうすればよいでしょうか?
⇒技能ビザにおいて、実務経験期間の立証は特に重視されるポイントです。立証は申請人側がおこなうため、当時の会社から直接の在籍証明書がとれない場合は、その他の間接的な証拠となる資料を使い最大限の立証を試みますが、許可に至るのは大変難しくなります。

 

・外国の料理はどのくらいの種類をつくれることが必要ですか?
⇒フルコースの料理を作れる技能を持つことが望ましいです。
そこまでのバラエティがなくても、その国独自の調理方法で行う料理等、容易に真似のできない本場の外国料理を提供できる水準であれば技能ビザ取得の可能性はあります。

 

・海外から購入した大型機材のメンテナンスに専門的な技量が必要で、現地の外国人技師を招聘したいです。可能ですか?
⇒日本にはない製品の製造に係る独特の機材であれば「外国に特有の製品の製造または修理に係る技能」を有する者として技能ビザ取得の可能性はあります。対象となる大型機材の特性によりますが、メンテナンス業務の内容がエンジニアに近いケースでは、「技能ビザ」よりも、「技術・人文・国際ビザ」での招聘を検討することが必要となってきます。

 

技能ビザは、その上手な活用によって、海外の優秀な外国人を雇用でき、日本人のみでは発想のできなかった新たな料理の開発や、より創意に富んだサービスの提供が期待されます。「許可が取れるか不安」、「実務経験の証明が難しい」、「技能ビザに該当するか分からない」など、お悩みでしたら、ぜひ、ご相談下さい。
ポイント制を活用した新しい在留資格 ー高度専門職ビザー 

高度専門職ビザとは

高度専門職ビザは比較的新しい在留資格です。

日本国内の活性化に資することが期待される高い資質を持つ外国人(高度外国人材)の受入れを促進するために2015年に創設されました。

高度専門職ビザは他のビザとは異なり、ポイント制を活用する点が特徴です。
他の在留資格と比較して様々な優遇措置もあり積極的に活用をしたい在留資格のうちの1つです。

ポイントは研究の業績や学歴、職歴、年収などの項目ごとに点数が定められており、ポイント計算表で合計70ポイント以上になったときに取得することができます。

下の表は、2012年~2022年の高度専門職ビザで滞在する外国人の人数です。

年ごとに高度人材は増加しており、今後もますます増えてゆくことが予想されます。

出入国在留管理庁HP>高度外国人材の受入れ状況等について>高度人材ポイント制の認定件数の推移

高度専門職1号と2号の違い

高度専門職ビザは、「高度専門職1号」と「高度専門職2号」の2に分けられます。

そして、高度専門職1号は活動内容に応じて、さらに(イ),(ロ),(ハ)の3つに分類がされます。

高度専門職1号(イ),(ロ),(ハ)に該当する具体的な職種は以下のようになります。

 

高度専門職1号 (イ)

 

高度学術研究分野

日本の公的機関や民間企業等との契約に基づいて行う研究、研究指導、または、教育活動。

具体例:大学等での教育活動,民間企業での研究

※これらの活動と併せて、教育や研究の成果を活かして事業を立ち上げ自ら事業経営をすることも可能です。

 

高度専門職1号 (ロ)

 

高度専門・技術分野

日本の公的機関や民間企業等との契約に基づいて行う自然科学または人文科学の分野に属する知識、または、技術を要する業務に従事する活動。

具体例:所属する企業での技術者として製品開発業務。企画立案業務,ITエンジニアとしての活動などの専門的な職種がこれに当たります。

※これらの活動と併せて,関連する事業を立ち上げ自ら事業経営をすることも可能です。

 

高度専門職1号の(イ)と(ロ)は、技術・人文知識・国際業務ビザの活動内容と重なる部分が多いです。
ただし,技術・人文知識・国際業務ビザの中で、国際業務に該当する活動は高度専門職1号(ロ)には該当しません。

例:通翻訳業など

 

高度専門職1号 (ハ)

 

高度経営・管理分野

日本の公的機関や民間企業等において事業の経営を行いまたは管理に従事する活動が該当します。

具体例:会社の経営や、弁護士事務所・税理士事務所などの経営・管理をする活動

※これらの活動と併せて、活動内容と関連する会社や事業所を立ち上げ,自ら事業経営することも可能です。

高度専門職1号は他のビザとは異なり、活動内容が細かく限定されず、複合的な在留活動が許容されている点に特徴があるといえます。

 

 

高度専門職2号 

高度専門職2号は、高度専門職1号で3年以上活動を行っていた方が対象で、ポイントが80点以上の方が取得できます。

 

具体的には、高度専門職1号 (イ)・(ロ)・(ハ)のいずれか、または、これらの複数の活動と併せて下記の在留資格で認められる活動ができます。

※「教授」,「芸術」,「宗教」,「報道」,「法律・会計業務」,「医療」,「教育」,「技術・人文知識・国際業務」,「介護」,「興行」,「技能」,「特定技能2号」の在留資格に対応する活動

 

このように高度専門職2号を取得すると大変幅の広い就労活動が可能となります。

在留期間は1号が「5年」で、2号に該当すると在留期間は「無期限」となります。

これは安定的に高度外国人材を雇用する企業側にとってもメリットといえるでしょう。

 

図解:【高度専門職1号と2号】

 

ポイント制度とは

 

『高度専門職1号』(イ)、(ロ)、(ハ)は、ポイント制の評価項目から採点され70点以上と認められた場合に許可されます。

ポイント制は「学歴」「職歴」「年収」「年齢」と「ボーナス」部分から構成されています。「ボーナス」部分には「実績」「資格」「学歴」「政策」などの要素で構成されております。

ポイント計算表は、学歴,職歴,年収,年齢,研究実績,資格,特別加算の各項目からなり、それぞれにポイントが付されています。

実際にポイント計算表を使って計算してみましょう。

高度専門職ポイント計算表はこちら→

 

高度専門職ビザの7つの優遇措置について

高度専門職ビザの取得で新たに付与される優遇措置については以下のようなものがあります。

 

1.親の帯同

高度外国人材またはその配偶者の7歳未満の子を養育する場合には、高度外国人材またはその配偶者の親を日本に呼び寄せることができます。ただし、高度外国人材の世帯年収が800万円以上である場合に限られます。

 

2.家事使用人の帯同

高度外国人材の世帯年収が1000万円以上である場合、家事使用人を新たに雇用し、日本に帯同することができます。

 

3.在留期間「5年」の付与

高度専門職1号は、最長の在留期間である「5年」の在留期間が一律で与えられます。

 

4.配偶者の就労

高度専門職ビザで在留する方の配偶者は、時間制限なく就労することができます。

 

5.複合的な在留活動の許容

高度専門職ビザで在留する方は、主となる活動と併せて、これと関連する事業経営活動を自ら行うことが認められています。

 

6.入国・在留手続の優先処理

高度外国人材の入国・在留審査は、他のビザの外国人より優先的に処理が行われます。

 

7.永住許可要件の緩和

ポイント計算表で70点以上の高度外国人材は3年、80点以上の高度外国人材は1年の日本在留で永住許可が認められます

 

 

みなし高度人材⇒永住権の申請について

 

永住申請には、引き続き10年以上日本に住んでなければ永住申請できないという住居要件があります。

しかし、この要件に関して、高度人材の方は、以下のように要件が緩和されています。

 

[ポイントが70点以上の方は、住居要件は3年]

[ポイントが80年以上の方は、住居要件は1年]

 

この高度人材の優遇措置については、申請人が現時点では高度人材の在留資格を保持してなくても「みなし高度人材」の制度を使うことで優遇対象になるケースがあります。

 

例えば、今は技術・人文・国際業務の在留資格で活動をしているが、ポイントを計算してみると実際は70ポイント、あるいは80ポイントあったケースです。

このようなケースに該当する時は、3年以上前からポイントが70点以あったこと、あるいは、1年以上前から80点があったことの証明を永住申請の際に行い、かつ他の要件を満たしていれば、永住権の取得が可能になります。

注意点としては、永住の審査は半年ぐらいかかることが見込まれます。この半年の審査の間も、現在のポイント維持できることの証明が必要になります。そのため申請時には、現在勤務している企業から収入見込み証明書を取得して、年収を維持できること等を証明の上、申請手続きを行います。

 

本記事では、高度専門職ビザについてご紹介しました。
数多くある行政手続きの中でも、在留資格の申請は、個々の経歴や職歴などによって申請方法が異なり、許可を得るまでにはさまざまなハードルがあります。
在留資格の申請において、ご不明点やご不安なことがあれば、ぜひ一度お気軽に「無料相談」をご利用ください。

特別高度人材(J-Skip)とは

 特別高度人材(J-Skip)とは

 

特別高度人材(J-Skip)とは、2023年4月から導入された新しい制度です。

ざっくりとした説明ですが、特別高度人材は「高度専門職ビザ」がより発展したものと捉えると分かりやすいかもしれません。
「高度専門職ビザ」はポイント制を使い、ポイントが70点以上の場合に取得ができました。

特別高度人材はこのようなポイント制を使わず、学歴または職歴と、年収が一定以上であれば,「特別高度人材」として高度専門職ビザが取得できるように要件が広げられた制度です。

よく誤解をされる点ですが、「特別高度人材ビザ」といった種類のビザがあるわけではありません。
取得するビザは高度専門職ビザとなります。「特別高度人材」として認められると、「高度専門職」ビザの優遇措置がさらに拡充されます。

多くの優遇制度が設けられており、積極的に活用をしたい制度の一つです。

 

出入国在留管理庁HP>特別高度人材(J-Skip)>制度の概要

活動類型別:特別高度人材と認められる要件

 

「特別高度人材(J-Skip)」として認められるには、活動類型ごとに以下の要件が必要になります。

活動類型は以下の3つの類型があります。

(1)「高度学術研究活動」

日本の公私の機関との契約に基づいて行う研究,研究の指導又は教育をする活動
(例 : 大学の教授や研究者等)

 

(2)「高度専門・技術活動」

日本の公私の機関との契約に基づいて行う自然科学又は人文科学の分野に属する知識又は技術を要する業務に従事する活動
(例 : 企業で新製品の開発等を行う者、国際弁護士等)

 

(3)「高度経営・管理活動」

日本の公私の機関において事業の経営を行い又は管理に従事する活動
(例 : グローバルな事業展開を行う企業等の経営者等)

 

(1)・(2)の活動類型の方が特別高度人材と認められるための要件

・修士号以上取得かつ年収2,000万円以上・従事しようとする業務等に係る実務経験10年以上かつ年収2,000万円以上

 

(3)の活動類型の方が特別高度人材と認められるための要件

・事業の経営又は管理に係る実務経験5年以上かつ、年収4,000万円以上

 

特別高度人材(J-Skip)の優遇措置

 

特別高度人材(J-Skip)として認められると、特別高度人材証明書が交付され、在留カード裏面欄外の余白に「特別高度人材」と記載されます。
そして、以下の①~⑧の、様々な拡充された優遇措置を受けることができます。

 

在留資格「高度専門職1号」での優遇措置

 

① 複合的な在留活動の許容

② 在留期間「5年」の付与

③ 在留歴に係る永住許可要件の緩和

④ 配偶者の就労

⑤ 一定の条件の下での親の帯同

⑥ 一定の条件の下での家事使用人の雇用

⑦ 大規模空港等に設置されているプライオリティレーンの使用

⑧ 入国・在留手続の優先処理

  

 

④の配偶者の就労について

 

日本人に滞在する外国人の配偶者は日本国内での就労が制限されています。

もし就労を希望する場合は、「資格外活動」の許可を得るか(週28時間までの制限あり)、あるいは、新たに別のビザを取得して就労する必要がありました。

 

特別高度人材制度では、このような制限がなくなり、特別高度人材の配偶者は、「研究」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」、「興行」、に該当する活動(従来の「高度専門職1号」の範囲)に加えて、さらに「教授」、「芸術」、「宗教」、「報道」、「技能」、に該当する活動についても、週28時間を超えて就労をすることが認められています。

 

また、これらのビザにそれぞれ設けられている経歴等の要件については、これを満たしていなくても就労ができます。幅の広い拡充がされており、「特別高度人材の配偶者」であれば、日本でほとんどの活動が制限なくできるといえるでしょう。

 

⑥の一定の条件の下での家事使用人の雇用について

 

従来の高度専門職ビザでも家事使用人の帯同をすることができましたが、「雇用主と共に出国する予定であること」や、「雇用主が13歳未満の子等を有していること」などのルールがありました。

特別高度人材と認められた場合は、こういったルールが緩和され、

 

・世帯年収が3,000万円以上の場合は、外国人の家事使用人を2人まで雇用可能

・13歳未満の子が居る等の家族要件は課されない

 

などと、要件が緩和されています。

 

 

在留資格「高度専門職2号」での優遇措置

 

※「高度専門職2号」には「高度専門職1号」(特別高度人材)で1年以上活動を行っていた方が移行でき、さらに拡充された下記の優遇措置を受けることができます。

 

◇ 高度専門職1号」の活動と併せてほぼ全ての就労資格の活動を行うことができる

◇ 在留期間が無期限となる

◇ 上記高度専門職1号の③から⑦までの優遇措置が受けられる

 

特別高度人材制度(J―Skip)のまとめ

 

特別高度人材として認められるには、学歴又は職歴と年収に高い水準が必要となります。

しかしながら、従来の高度専門職で必要であった複雑なポイント計算は必要なく、また、日本語能力は問われません。さらに事業の経営又は管理に係る場合は、学歴要件もありません。

特別高度人材制度は、高度な専門性を持つ外国人材にとって、日本への就労や永住を実現するための新たな選択肢となります。

また、企業の採用担当者にとっては、人材獲得の国際競争が増々激しくなるにあたり、優秀な外国人材の採用に向けて、特別高度人材制度に付与された様々な優遇措置は大きなアピール材料になると思われます。

 

当事務所は、特別高度人材制度をはじめとする、外国人材の就労・ビザ取得に関するサポートを専門としています。特別高度人材制度について、ご不明な点やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

 

【業種別】技人国ビザ取得のポイント

「技術・人文・国際」―もっとも取得者の多い就労ビザ―

本ページで紹介する技術・人文知識・国際業務ビザ (技人国ビザ) は、様々な就労ビザの中でも取得者が大変多い、もっともポピュラーなビザです。技人国ビザは、主に大学や専門学校などで学んだ専門知識を活かしたオフィスワークが該当します。

図解【技人国ビザの位置づけ】

 

技人国ビザの業種別の取り方ポイント

技人国(技術・人文知識・国際業務)ビザに該当する仕事はたいへん幅が広く、職種ごとに在留資格の申請で注意すべきポイントが複数あります。そこで、よくご相談をいただく業種別にビザ取得のポイントをご紹介いたします。

技人国ビザそのものについて知りたい方は「技人国(技術・人文知識・国際業務)ビザ――もっとも取得者の多い就労ビザ」をご参照ください。

図解【技人国ビザの要件まとめ】

技人国の取得要件の詳細は、「技術・人文知識・国際業務ビザを取得するための要件」をご参照ください。

IT企業

IT企業でも技術者としての雇用を考えているか、人事、総務などとしての雇用か、あるいは翻訳・通訳など語学能力に着目した雇用を検討しているかにより、要件は変わり、申請書の書き方も変わってきます。

IT技術者としての雇用

ソフトウェア専門、あるいは、ハードウェア専門、データベースやネットワーク、あるいはセキュリティなどIT企業もその業務内容は多様です。技人国ビザは、大学や専門学校で学んだことと職務内容との関連が必要なため、職務内容がソフトやハードウェアを取り扱うIT技術者として働く場合には基本的には情報に関連した単位の取得が必要です。

ただし、IT告示といって、申請人が「情報処理に関する技術または知識を必要とする業務に従事しようとする場合」には、資格試験合格による認定もあり、告示で定められた試験の合格者、及び、既に資格を持っている場合は、学歴・実務経験がなくても許可となる可能性があります。

詳しくはこちら⇒出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の技術・人文知識・国際業務の在留資格に係る基準の特例を定める件

理系と文系融合の仕事

ソフトウェアの開発では、理系プログラマーだけでなく、デザイナーや人文科学の知識を持つ者など、多くの知識が融合されて作られるものも多くあります。

たとえば、ITを駆使した新たな金融サービスの開発や、翻訳のソフトウェアや地図ソフトウェアの開発などでは、経済や人文科学の高度な知識が必要となり、そのために文系のバックグラウンドを持つ外国人の採用が必要となることもあります。

このような場合には開発をしようとしているソフトウェアの内容と、申請人のアカデミな背景を理由書で十分に説明して、学歴と職務の関連性が審査官に分かるように記載することがポイントとなります。

総務・人事・経理・営業・翻訳通訳などでの採用

これらの職種についても、具体的な職務内容と外国人本人の学歴との関連性が必須となることは共通です。

そのため、法律、経済、経営、マーケティングなどそれぞれの業務に即した専門知識を履修している必要があります。

ただし、翻訳・通訳の場合は、短大、大学(日本に限らず本国の短大、大学で可)を卒業していれば学部を問わず従事することができ、過去の職務経験も問われません。

 

飲食業

申請人の業務内容によります。

もし料理人としての採用であれば「技能」ビザを検討しなければならず、取得の要件が技人国ビザとは異なってきます。

また、ホール業務での採用はできません。(ホール業務は職務内容に制限のない身分系ビザか、資格外活動のアルバイトでしか従事できません。)

食材の調達を目的とした国際貿易や人事、総務、マーケティングなどであれば、申請人のこれまでの学歴、職歴との関連性を示すことで、技人国ビザの取得は可能です。

この場合、複数の店舗をもつなど、ある程度の規模を持ち、十分な業務量があることが必要となります。

技人国ビザの審査においては、年間を通じて十分な業務量があることの疎明も重要なポイントであるため、飲食店を1店舗運営している程の規模の場合、技人国ビザに該当する仕事が安定してルーティーンに発生する点について不安があり、実際、十分な業務量を確保できないことも少なくありません。

しかしながら、1店舗であっても立地の性質上、観光地であることなどで外国人の来客が大変多く、通訳業務をメインとした人材を採用したいケースも多々あります。このようなケースでは、来客者の国籍やその人数を疎明した資料を添えて、技人国ビザの申請を行います。

【関連記事】「技能ビザ」とは――申請ができる職種の種類や条件は?

教育業

外国人が母国語を日本人に教える仕事に就くには、大学・短大を卒業して学位を取得していることで、技・人・国の在留資格を取得することができます(技・人・国の中の国際業務に該当します)。また、学校で専攻した内容も問われません。

エンジニアや、総務など、技術、人文知識分野によるビザの取得要件よりも、要件が緩和されているといえるでしょう。

【母国語を教える場合に、技・人・国ビザを取得するための学歴・実務経験】

英会話スクールなどの語学教師は、技術・人文・国際ビザの「国際業務」に該当します。

国際業務は、技術、人文と許可基準が異なり、比較的要件が緩和されています。

国際業務を行う場合の要件(アかイどちらか)

ア. 学歴(大学等を卒業して学士以上の称号があること。学部は不問。)
イ. 語学教師としての実務経験が3年以上あること

ビザ取得においては、教える学校の種別もポイントです。

下記に簡単にまとめてみます。

民間の英会話スクール・語学スクールでの就労

教育業での外国人雇用は大手英会話学校の講師など、民間スクールでの採用が大変多いです。

この場合、経営母体の安定性は必要ですが、大学・短大を卒業して学位を取得していれば、専攻内容を問わず 「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得して働くことができます。(専門学校卒業の場合は、教育に関する科目の専攻が必要です)

個人で英会話教室を経営されている方が外国人講師を採用するケースも多々あります。

教育業は教える講師の指導スタイルや人柄が事業成功の成否が大きく左右されます。採用側は事業の実態を説明することと同時に、申請人の講師としての優秀さについて、経歴や実績を基に過不足なく説明を行い、採用の経営上の意義を説明することがビザ取得に重要です。

フリーランスの語学講師

外国人がフリーランスの語学講師として、複数の企業や個人客から業務を委託されて働くようなケースです。

フリーランスは個人事業主という扱いとなります。個人事業主でも技人国ビザの取得は可能です。

ただし、①事業活動の内容と、②事業の安定性、について申請人自身で明確に説明ができなければなりません。

この二つのポイントの説明には、顧客との契約書が基本的な資料となります。

契約書に明記された仕事の内容、契約の期間や報酬などが審査の材料となるため、契約書を作成することはもちろん、契約書の控えは間違いなく保存をしておきましょう。(ビザを更新するときも重要な資料となります)。

注意点:契約は 「日本にある公私の機関」 との継続的な契約が要件です。外国にある会社のみと契約をしている場合はその要件に該当しません。

学校法人での英語講師・アシスタント

私立、公立を問わず公教育の現場で行う英語教育 (小・中・高校生向けの英語教育) に携わる場合は「教育」ビザとなり、技人国ビザとは異なる要件が必要です。また、大学で教える場合は、「教授」ビザとなり、こちらも取得には異なる要件が必要となります。

ホテル等宿泊施設

インバウンドが盛況です。

外国人観光客へのサービス向上に、外国人従業員の語学能力や、幅広い国際感覚を背景にした営業力など、外国人の感性、能力を生かした採用はこれからますます増えてゆくと思われます。

企画からセールス、人事、広報、総務、施設管理とホテル業もその仕事は多岐に渡りますが、ハウスキーピングやベルアテンダント、ルームサービスなどの業務ではビザの取得はできません。

ホテル業での技人国ビザは、主に次のような職種で取得が考えられます。

フロント業務・ホテルの施設案内

来客した外国人観光客と直接のコミュニケーションが発生するフロントです。

日々訪れるたくさんの外国人と丁寧に、そしてミスのないやり取りが必要なフロント業務に外国人の母国語へのニーズは高く、現に、多くの外国人が雇用されています。

ビザの申請にあたっては業務量の説明がポイントとなります。

客室数、客室稼働率、外国人客の比率、季節ごとの来客者変動などの資料を基に、フロントの専従者として十分な業務量があることを説明します。

観光地の大型ホテルであればこの点の説明は十分に可能と思われます。

しかし、ホテルの規模が小さい場合や、観光地でない日本人客がほとんどのビジネスホテルなどでは、外国人の母国語能力を必要とするフロント業務が日常的に発生するとは考えづらく、フロントでの採用はなかなか難しいと言えます。

ホテルの規模が小さければ、必ずしも不許可になるとはいえません。

富裕層向けに高品質なコンシェルジュサービスを24時間、多言語で提供しているホテルなど、規模は小さいながら手厚いサービスを提供するホテルでは、職務内容と業務量の疎明で、技人国ビザ取得の可能性があります。

マーケティング、経理、総務、企画

集客拡大に向けたマーケティングや広報、宿泊プランの企画などもホテルの経営に欠かせません。

このような業務につく場合は、 卒業した大学での専攻科目と業務の関連性が必要となります。

専門学校を卒業の場合は、通例、専攻科目と業務との関連性がより細かく審査されますが、関連性が認められれば、就業が可能です。

貿易業

企業による海外取引と個人事業で輸出入を行うケースが考えられます。

海外商品の買い付け、海外パートナーとのやり取りなど、貿易業は外国人を雇用することの多い業種となります。

貿易会社のみならず、商社、メーカー、船舶会社、海運倉庫、など貿易に携わる会社は様々ですが、それらの貿易事務として勤務する場合なども比較的スムーズに就労ビザは取れます。

もちろん、大学や専門学校での専攻と業務内容との間に関連性があることが前提となります。

申請人が日本の専門学校卒業(申請人本国の専門学校の卒業は含まれません)の場合は、専攻した科目と業務との関連性がより細かく審査されるのが一般的なため、採用を考える企業側は、どのような業務を想定した採用であるか、より慎重な検討が必要です。

個人で貿易事業をしている事業主様から、本国から知人を呼び寄せて従業員にしたい、といった相談を受けることがあります。

会社組織でなく、個人事業主による申請でも、特段、問題はありません。 ただし、個人事業の多くは会社区分のカテゴリー3、または、4に該当するため、カテゴリー1、2 に属する会社に比べ事業の安定性、継続性についてはより慎重な審査がされます。

申請においては、新規に人員を雇う必要性や業務量について細かな説明を行うとともに、輸出入をしている具体的な商品、取引の実態について写真を添付するなど分かりやすい資料の提示もが必要です。

準備する申請書類は多く、審査期間も比較的長くかかることが予想されるため、招聘には事業展開に合わせた計画的なスケジュール調整が必要です。

 

コンビニエンスストア

多くの外国人がコンビニエンスストアで働いています。都心ではレジに立つ外国人を必ず見るといってよいでしょう。

コンビニエンスストアで働く外国人の多くは資格外活動によるアルバイトや(留学ビザ、家族滞在ビザ、就職活動で特定活動を行う外国人でも資格外活動としてアルバイトはできます)、身分系ビザ(日本人の配偶者ビザや永住者ビザ等)による就業と思われます。

コンビニのオーナー様よりアルバイトの留学生をそのまま店長として雇用できないか、といったご相談をうけることがあります。本人もやる気になっており、十分な給与も見込まれるものの、正社員としての雇用は大変ハードルが高くなります。

コンビニ業務はレジや品出しといった店舗内の業務が中心となるため、技人国ビザの要件である、「卒業した大学や専門学校で専攻した内容と業務との関連性」を見いだせない点がその理由の一つとなります。

コンビニエンスストア本部による採用であれば、総務、人事、マーケティング、商品開発など多くの職種が見込まれ、比較的スムーズに技人国ビザの取得が可能です。しかし、フランチャイズオーナーが経営する1店舗のコンビニでは、そのような業務が日常的に発生するとは考えづらく、外国人の正社員雇用はなかなか難しいのが現状です。

ハードルは高いですが、次のようなケースでは、コンビニで外国人のビザ取得が見込まれます。

多くの店舗を持つメガフランチャイジーが雇用主であるケース

店舗数の多いメガフランチャイジーでは、外国人アルバイトの採用対応や研修指導、管理業務としてのスーパーバイザー、その他、外国人の感性を生かした販売企画など、様々な技人国ビザに該当する仕事も多く発生すると思われ、ビザ取得の可能性があります。

観光地の中心等に店舗があり、外国人の来店が大変多いケース

日常的に多くの外国人観光客が立ち寄るような店舗では、外国人の母語を生かした接客、案内などは活気ある店舗の経営に必要不可欠と思われます。また、季節に合わせた発注も必要で、マーケティング業務も生じると思われます。

そのため、通訳やマーケティング業務を職務内容に取り入れた採用を行うことで、ビザ取得の可能性が出てくると考えられます。

特定活動46号(N1特定活動ビザ)ー現場労働が可能な新しい在留資格ー

本ページでは、2019年(令和元年)5月に新たに導入された特定活動46号について解説します。

幅広い業務に従事できる特定活動46号

「特定活動」とは、現在日本に設けられている就労ビザ(就労のできる在留資格)に該当しない活動を認める制度で、「法務大臣が個々の外国人について特に活動を指定する在留資格」のことです。

代表的な特定活動の例としては、「インターンシップ」(9号など)や「ワーキングホリデー」(5号)などがあります。
ほかにも、外交官等の個人的な家事使用人等(1号など)既存の在留資格に当てはまりにくいものもありますし、2021年に行われた東京オリンピックの関係者とその配偶者等(48・49号)国際的な規模の行事等で設けられるものもあります。

「特定活動46号」もそのひとつで、日本に留学する外国人が大学・大学院卒業後に、留学で得た高い日本語能力を活用することで、幅広い範囲をカバーする技人国(技術・人文知識・国際業務)ビザの業務に加えて、サービス業務・製造業務への従事も可能とした在留資格です。

プログラム認定された専門学校の卒業生等も特定活動46号の対象に

特定活動46号は、日本語能力や学歴について高い基準が定められています。しかし、従来の技人国ビザでは認められていなかった現場での仕事にも従事することが可能となり、外国人が働く際の新たな選択肢として、存在が増しつつあります。

これまで、「特定活動46号」の対象となる方は、日本の4年制大学を卒業し又は日本の大学院の課程を修了して学位を授与され、日本語能力試験N1相当の日本語能力を持つ外国人に限られていました。
しかし、令和6年3月からは、認定を受けた日本の専門学校を卒業し、高度専門士の称号を取得した方も、特定活動告示46号の対象となることになりました。これにより、専門学校を卒業した外国人留学生のキャリア形成の可能性がさらに広がることが期待されます。

新たに特定活動46号の対象となる方の詳細や条件など

① 文部科学大臣から「外国人留学生キャリア形成促進プログラムの認定」を受けた専門学校を修了し、高度専門士の称号を受け、 日本語能力試験N1相当の日本語能力を持つ外国人

日本の短期大学又は高等専門学校を卒業した者で、大学における一定の単位の修得等を行い、 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構の行う審査に合格し学士の学位を授与され、 日本語能力試験N1相当の日本語能力を持つ外国人

特定活動46号と技人国ビザや高度専門職、特定技能との違いは?

以上が「特定活動46号」の概要になりますが、これを他のビザと比較してみましょう。

以下は、業種や職種の点で特定活動46号と重なる部分のある就労ビザ「高度専門職」と「技術・人文知識・国際業務」、「特定技能」とを比較した表です。

図解:【 高度専門職 /技人国/ 特定活動46号/ 特定技能/ の取得要件一覧 】

まず注目していただきたいのは、「在留資格の特徴」です。

技人国ビザは「大学などで学んだ専門性を生かした仕事」、高度専門職は「より専門性の高い業務」とあり、いずれも専門性を要する業務が対象です。

他方、特定技能は「特に人手不足の著しい業種・業界」とありますが、もう少し細かく見ると農業や漁業などの第1次産業の一部、建設や造船、自動車整備等の第2次産業の一部、そして第3次産業のうち介護やビル清掃、外食、宿泊など、現場や施設内での作業を対象としています。

特定活動46号が位置づけられるのは、この両者の間です。
本邦の大学または大学院等の卒業を要件とし、専門性の高い業務を前提としつつも、現場や施設内での作業従事を認めています。

しかしながら、それは、単に専門的業務と現場作業の両方ができることを認めているということではありません。特定活動46号は、「学歴要件」で日本の大学等を卒業したことに加えて、日本語能力試験のN1あるいはビジネス日本語能力テスト480点以上等を要件としていますので、同僚と日本語を用いた高度なコミュニケーション能力の運用が前提とされている点が重要です。

特定活動46号で行える具体的な業務の例

次に、具体的な業務例をみてみましょう。

【特定活動46号で行える具体的な業務の例】

飲食店:
外国人客への通訳を兼ねた接客、店舗管理業務など
(※皿洗いや清掃のみへの従事は不可)   

小売店:
(スーパーマーケット・コンビニエンスストアなど)
通訳を兼ねた接客販売業務、仕入れ,商品企画など
(※商品の陳列や店舗の清掃のみへの従事は不可)

ホテルや旅館:
外国人客への通訳を兼ねた接客、外国語ホームページ作成、など(※客室清掃のみへの従事は不可)

タクシー会社:
観光客(集客)のための企画・立案、通訳を兼ねた観光タクシードライバー、通常のタクシードライバーとしての乗務も可(※車両整備、清掃のみへの従事は不可

介護施設:
外国人従業員・技能実習生への指導、介護業務
(※清掃・衣類の洗濯のみへの従事は不可)

食品製造会社:
他の従業員と日本語でのコミュニケーションを取りながら、商品企画・開発、製造ラインでの作業
(※指示されたライン作業のみへの従事は不可)

工場:
技能実習生や外国人従業員への外国語での指示伝達・指導、製造ライン作業など
(※ラインで指示された作業にのみ従事することは不可)
〈留学生の就職支援に係る「特定活動」(本邦大学卒業者)についてのガイドライン 出入国在留管理庁 令和元年5月策定 令和2年2月改定より抜粋・要約〉

いずれも高い日本語能力を基礎にした業務や、また、外国人従業員や技能実習生が働く職場での指導やコミュニケーター的な業務が想定されています。また、単純作業のみを行うことを禁止している点も重要です。

いずれも高い日本語能力を基礎にした業務や、また、外国人従業員や技能実習生が働く職場での指導やコミュニケーター的な業務が想定されています。また、単純作業のみを行うことを禁止している点も重要です。

留学生にとっては日本語能力を生かした就職先の選択肢がより多様化したといえ、採用側企業にとっては外国人材の能力をより幅の広い現場で活かすことができる在留資格と考えられます。

「定住者ビザ」とは――申請のポイントや他の在留資格からの変更は?

定住者ビザとはどのような在留資格か

在留資格は活動内容に応じて分類がされており、日本に滞在をする外国籍の人は、職務内容や学業など自身の国内での活動に対応するビザを申請しなければなりません。
しかし、在留資格の中には「身分系」ビザと称されるものがあり、定住者ビザもその一つです。

定住者ビザは、日本で行える仕事内容に制限がないことや、比較的長期の在留期間が許可されるため、日本で幅の広い活動をより安定して行うことが可能となります。

また、申請人について学歴や職歴などの要件が求められないことも特徴です。

定住者ビザの対象となる方は実は様々なパターンがあります。
よくある事例としては、次の4つが考えられます。 

定住者の4つのパターン

日本人配偶者と離婚・死別をした外国人

1つ目は「日本人の配偶者等」のビザから「定住者」ビザへの変更です。「日本人の配偶者等」のビザを持つ外国人が、日本人との離婚などを原因として、配偶者としての在留資格を失ってしまったが、そのまま日本で暮らしたいので「定住者」ビザに変更するケースとなります。 

外国籍配偶者の連れ子

2つ目が日本人と国際結婚した外国人配偶者の「連れ子」を本国から呼び寄せる場合です。日本で一緒に暮らすために、連れ子の定住者ビザ申請を行います。

日本で長期間教育を受けた外国籍の子ども

3つ目は「家族滞在」ビザから「定住者」ビザへの変更で、次のいずれにも該当する方が対象となります。

(1)日本の義務教育を修了していること
(2)日本の高等学校を卒業していること又は卒業見込みであること
(3)入国後、引き続き「家族滞在」の在留資格をもって日本に在留していること
(4)入国時に18歳未満であること
(5)就労先が決定(内定を含む。)していること
(6)住居地の届出等、公的義務を履行していること

 

日系人

4つ目は日系人です。

日系人とは、日本人が海外に移住し、その国の国籍を取得した人、および、その子孫のことです。
日本国籍から外国国籍に変更した人を日系1世とします。その子は2世、2世の子は3世となります。

日系人による定住者ビザの取得は日系3世、ケースによっては4世まで取得が可能です。

定住者ビザ取得に必要なポイント

以上4つのケースについて、定住者ビザを取得するポイントを見ていきたいと思います。

「日本人の配偶者等」ビザから定住者ビザへの変更

こちらは上述の通り、「日本人の配偶者」ビザを持っている外国人が日本人と離婚したけれど、そのまま日本で暮らしたい場合です。これには死別により日本人の配偶者でなくなった場合も含まれます。この場合、結婚をしていた期間が3年以上続いていたことが必要となります。結婚期間は、3年間同居していたことも必要なため、もしも同居の期間がそれより短いと難しくなります。

ただし、申請人に日本国籍の子どもがいる場合は結婚をしていた期間が3年間なくても、1年程の結婚期間があったことで許可が出る可能性があります。この措置は、子どもの養育・監護の必要性により許可がされているといえます。そのため、子どもと同居して実際に子育てを行っていなければ認められません。書類上、親権を持っているだけでは該当しません。定住者ビザは、その後長く日本で暮らすことが前提です。そのため、次の点についても説明が必要です。

    • ・そのまま日本で暮らすことの理由
    • ・安定した収入の見込み
    • ・ある程度の日本語能力があること
    • ・公的義務の履行をしていること

 

外国人配偶者の「連れ子」の呼び寄せ

「連れ子」とは外国人配偶者が日本人と結婚する前に、以前の配偶者との間にできた子どものことです。その子どもと日本で一緒に暮らすため、「連れ子」の定住者ビザを申請するケースです。

〈連れ子ビザ(定住者ビザ)の取得条件〉

連れ子ビザ(定住者ビザ)の取得は、次の4つの条件を満たす必要があります。

1.親が「日本人の配偶者」ビザ、または、「永住者の配偶者」ビザを取得していることが必要です。

2.連れ子は外国人の親の実子である必要があります。外国人配偶者の養子や前の配偶者の連れ子は、定住者ビザの取得要件を満たせません。

注)〈外国人が養子縁組により日本人などの養子となった場合
申請人(外国人の子ども)が「日本人」、 又は、「永住者」、「定住者」、「特別永住者」のいずれかの方の扶養を受けて生活する6歳未満の養子である場合には定住者ビザの対象となります。

3.子どもが未成年、かつ、未婚であること
連れ子は未成年かつ未婚である必要があります。
未成年の定義は日本の法律が適用されるため、18歳未満となります。

4.親の扶養を受けて生活すること
連れ子は親の扶養を受けて生活することが前提となります。そのため、連れ子の扶養が可能な世帯年収であることや、連れ子と夫婦の同居についても審査の対象となります。

日本で長期間教育を受けた外国籍の子ども ーー「家族滞在ビザ」から「定住者ビザ」

「家族滞在ビザ」で日本に暮らす外国人で、次の要件を満たす場合は「定住者ビザ(告示外)」に在留資格を変更することが可能です。
注)この変更は「家族滞在ビザ」で長年日本に在留している子どもが対象です。「家族滞在ビザ」で在留している父親、または、母親は「定住者ビザ」へ変更することはできません。

〈子どもが「家族滞在ビザ」から「定住者ビザ(告示外)」に変更できる要件〉

・子供の頃から日本に在留し、義務教育を日本で修了している(小学校および中学校を卒業している)。
・日本の高校を卒業(卒業見込みを含む)。
・就職先が内定していること。
・これまでの在留状況に問題がないこと。

「家族滞在ビザ」から「定住者ビザ」に変更すると、日本で行える活動内容に制限がなくなり、職種に関係なくフルタイムでの就労が可能になります。社会との接点が多くなる高校卒業をタイミングに、変更を検討してみるのも良いと思われます。

詳しくはこちら:外国人の暮らしと在留資格【家族滞在者⇒定住・特定活動】

日系人の定住者ビザ取得

日系1世~4世までが対象となりますが、世代により取得するビザが異なります。

  • 日系1世:「日本人の配偶者等」
  • 日系2世:「日本人の配偶者等」または「定住者」(告示2号)
  • 日系3世:「定住者」(告示3号)
  • 日系4世:「定住者」(告示6号ハ)または「特定活動」(告示43号)
  • 日系5世以降:なし(通常の外国人と同じ)

・日系1世

日本人の子として出生した人が外国に移住して、そこの国籍を得た人が日系1世となります。外国人と結婚してその国の国籍に変更した元日本人も含まれます。

日系1世の在留資格は「日本人の配偶者等」となります。

「定住者」ビザとはならないため注意が必要です。

・日系2世

親(日系1世)が日本国籍を有しているか、日本国籍を離脱する前に出生した子の場合、在留資格は「日本人の配偶者等」です。

同じ日系2世でも親が日本国籍を離脱した後に出生したならば、在留資格は「定住者」(告示2号)となります。

・日系3世

日系3世の方は、在留資格は「定住者」(告示3号)となります。

・日経4世

日系4世の在留資格は、「定住者」の在留資格で在留する親(=日系3世)の扶養を受けて生活する未成年者未婚の実子は「定住者」(告示6号ハ)となります。

親の扶養を受けておらず、独立している子が来日して在留するケースは「特定活動」(告示43号)となります。

 

「定住者」ビザ申請に関してよくいただく質問

・国際結婚をしました。外国人配偶者に連れ子がいるため、呼び寄せを考えています。連れ子と日本人側との養子縁組が必要ですか
⇒ 定住者の在留資格で申請する場合, 日本人の父または母との養子縁組を行う必要はありません。

 

・日本人との夫と結婚する前に本国との男性との間にできた子どもがいます。これまでは本国で私の母親と一緒に暮らしていましたが、今後は日本で私たち夫婦と一緒に暮らすことを希望しています。本人は現在21歳で未成年ではありません。定住者ビザの取得は21歳では無理でしょうか?
⇒成年に達している場合は、定住者ビザの取得はできません。
そのため、定住者ビザとは異なるビザを取得して一緒に暮らすことができないか検討します。先ずは21歳なので日本で働きながら一緒に暮らす方向性を考えます。
しかし、本人の現在の学歴が高校卒であった場合、21歳では、まだ十分な職歴がないため、日本で就労ビザを取ることが難しくなります。
もしも現地の大学等に在籍しているならば、卒業後に日本の会社に就職して就労ビザを取るといった方向性も考えられます。その他、日本の大学などへの留学、あるいは、申請人が日本で事業を開始して「経営・管理」のビザを取得するなどの方向性も考えられます。